136.久しぶりの後宮にて

 

 会議が終わった後、激しい脱力感に襲われていた。


 何故なら、今まで休みという休みを取らずここまでやってきたのだから当然だ。


 (これじゃあ、まるでどこかの真っ黒な企業と同じ状況だな)


 そして、俺は二度も負傷していたので、体力が大きく消耗していたのも原因の一つである。


 会議室からほとんどの軍幹部がいなくなっても、俺は動けずにいた。

 そんな俺の状況を知ってかメリアは紅茶をもってこの部屋に戻ってきてくれていた。

 メリアは座っている俺の後ろから抱き着き、やさしく頭をなでてくれていた。


 (なでてくれるのもうれしいけど、それより柔らかいものが当たっているのがサイコーです!)


「本当にありがとう、そしてお疲れ様、ワタ」


「いや、いいのさ。大変で辛くて死を意識したのも何度あったかわからないけど、ここまでやってこれたのは、仲間の為国民の為じゃなくて、一番はメリアの為だったと思う」


「本当に?私がいないところであんなことやそんなことをしてたというのに?」


「ハイ、スミマセンデシタ!!」


「はぁ~、まぁ……いいわ、そ・の・か・わ・り!明日は一日中私とだけ過ごしなさい?よくって?」


「イエス、マム!」


「よろしい!とりあえずこんなところにいてもしょうがないから、紅茶を飲んだら“私たちの部屋”に行きましょ?」


「そうだな、そうしよう。あそこに行くのはだいぶ久々な気がするな?」


「そうね、あなたがあの部屋で最後に寝たのはハミルトンに行く前だったのよ?あれから一度も戻れなかったからね」


「そうか、そんなにか……思えばずいぶんといろんなことをやってきたものだ」


 話をしながら紅茶を飲んでいると、主人である俺やメリアが後宮に来ないことを不審に思ったのか武装メイドたちが来た。

 彼女らは後宮を防衛することと王城内の女王と国王とその妻たちの身辺警護を専門に行い、普通のメイドと同じ働きをするときもあるが、基本的には常に武装している。


 そもそも武装メイド隊は、俺が王宮に来てレナの部隊編成や政府高官に対して銃の説明をしていたのと同時期に、プライベートゾーンを守る部隊が必要と思ったのがきっかけで王務院内部局として編成した。

 正式名称と所属は後宮管理局武装警備隊である。


 この王務院はその名の通り国王に関する業務や任務を統括する行政機関で、ここは国王と女王の直接指揮下で運用される特殊な場所である。

 王務院所属部署は以下の通り。


 王務院

 財産管理部

 王国研究室

 人事総務部

  特別高等監察局(王務院内犯罪取締)

 調査室

 情報部

 近衛軍司令部(RGF)(セレナ中将率いる近衛軍団はここの隷下部隊)

 統合参謀本部(JTF)(非常事、陸海空軍のすべての部隊と準軍組織、警察、消防を一括指揮が可能)

 統合参謀本部議会

 統合参謀本部情報室


 後宮管理局

 武装警備隊 後宮の防衛任務 通称「ヴァルキュリア」(2個大隊)

 賓客対応隊 来賓の護衛及びお世話 通称「ローレライ」

 武装侍女隊 王室関係者の外出時の護衛及びお世話 通称「ミスティア」(3個大隊)

 秘密警察 通称「グリムリーパー」暗殺・諜報 

 食品品質安全管理部(料理担当)

 給仕課

 調理課

 調達課

 奉仕部(一般メイドはここ所属)

 メイド課

 執事課

 秘書室

 対策室(工作・扇動・ハニートラップ(男女両方))

 危機管理対策室(防諜・後方支援)



 装備は以前MP7A1とHK416C、SIGP226を装備していたが、今回の編成改編で警察系特殊部隊と身辺警護部隊にはSIG系列の銃を使わせることにしたので(一部例外あり)、新たにSIGMCXとSIGP320(M17)を召喚して装備させた。


 まずSIGMCX(以下MCX)だが、バレル交換によって300BLK/5.56×45㎜/7.62×39㎜といったいくつもの弾薬に対応できるマルチキャリバー(複数の口径)ライフルのことで、これ以外にも完全アンビデクストラス仕様(略称アンビ、両側で操作可能という意味)、銃本体トップはピカティニー規格(20㎜)のレイル、ハンドガード部分はkeymod system、スケルトン状のフォールディングストック(折り畳み式銃床)を装備、という特徴がある。


 このkeymod systemと呼ばれるものは、従来のレイルが設置されていた部分がそぎ落とされている分軽量化し、その部分に鍵穴のような形をした穴があけられていて(これが名前の由来)、そこに様々なオプションパーツやレイル自体を自由につけることができるもので、こうすることによって今まで使わず無駄になっていた分のレイルの重量がなくなることによってかなり軽量化され、さらに細くなったことによって握りやすくなるなど、いいことずくめのものである。

 今回はこれの5.56×45㎜仕様のMCXを使い、ホロサイトはEOTech558を使いAN/PEQ-16をつけたものを配備した。


 もう一つ召喚したのが、SIGP320(M17)はM9A1(BerettaM92)の後継米陸軍正式拳銃として採用されたもので、VP9と同じくポリマーフレームオートで且つストライカー方式のハンドガンで、この米軍仕様の物はアンビサムセイフティがついている、使用弾薬は9×19㎜。


 そして彼女らはSIGMCXをワンポイントスリング(銃本体後部一か所に取り付け袈裟懸けのようにして使う)で吊り、SIGP320(以下M17と呼称)をサファリランドタイプのホルスタにいれている。


 

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