サバゲーマーが、異世界転移して、王に成り上がって、現代兵器無双!

経蔵と国416

陸編

プロローグ

 とある日の朝。




 いつものように出勤するため起きようと思った桜井航サクライワタルは、眠いせいで重くなった瞼を何とか開けようとしていた。




 毎朝、通勤ラッシュを避け空いた電車に乗るため、わざわざ毎朝5時に起きて始発に乗り車内で寝るのが日課だ。


 そして俺は都内のとある商社に出勤する。



 この会社は”定時”だと17時に終わるが、最近は景気の割にうちの会社は忙しく、毎日のように残業が続いていた。

 それに加えて休日出勤もざらで、休みは週に1日取れれば運がいい方だ。まったく取れない時は月に2回。

 そんな状態の俺は当然”定時”とやらに帰ったことが入社して一か月以外一度もない。


 そう、完全にブラック企業の社畜状態だ。

 唯一の救いは給料が月60万と良い所だ。 


 俺はそんなブラック企業に行きたくないと思いつつ、金をもらわねば生きていけないと自分に言い聞かせ、何とか体を起こそうとする。

 しかし、体を起こそうにもまるで鉛のように体が重い、目を開けようにも全くあかない。


(くそ!今日も朝から晩まで仕事があるってのに~!動け!俺!)


 劣悪な勤務環境に耐えられなくなってついにがたが来たんだろうか?

 労働時間が毎月350時間を超えるような仕事をしていれば、そうなるのは誰の目からでも明らかだ。




 それとも、昨日のサバゲに行った疲れが原因だろうか?


 こんな劣悪な環境で働いている中、俺にとって唯一の楽しみがサバゲなのだが、昨日はかなり疲労が状態で無理やり行ったので、それが祟ったのかもしれない。


 とはいえ、こんなに楽しいサバゲを俺がそんなことで行かないほうがあり得ない。


 そういえば、新作のエアガンも買いたいな……。





 そうはいっても毎日、だるいと思いながら寝坊を一度もせずに起きているので、死なない限りは起きれるはずだ。


 しかし、今は感覚がいつもと違っていた。


 目覚ましもならないし……。




 色々と考えていくうちに自然と目が覚めた。




「はっ……!なんじゃこりゃーー!」




 いつもは、起きたら上に天井があるはずなのに……無い?だと!


 しかもあたりは木、というか森ですよ森!見渡す限り木!


 俺覚醒してから早速、訳分からなすぎて気が狂いそうになる。




「ん?何だ?」




 俺は自分のお腹の辺りに違和感を覚え、体を起こし自身の衣服を確認すると、昨日夜寝る前に着替えたパジャマのままだった。


 体を起こしたと同時に、その違和感がなくなっていた。




 そこには見慣れた黒く長い物体が落ちていた。


 恐らく、お腹の辺りにあった違和感はこれが原因だろう。




「まさかとは思うけど……」




 最初は寝ぼけていて、長い黒い物体としか認識できなかったが冷静にみるとそれは銃であった。


 それもSIG716という7.62×51mmNATO弾を使うアサルトライフル(軍によってはバトルライフルやマークスマンライフルと呼ばれる)で、外見は知名度が高いAR15(M4の大元となった銃)の近い形をしているが、細部や構造、使用弾薬は違う。


 このSIG716という銃はスイスとドイツの合弁会社を起源に持ちアメリカのニューハンプシャー州に本社を構えるSIG SAUER社が作っている。


 アサルトライフルといったら大概の人はまずアメリカ軍のM4か、テロリストやアフリカ・中東の国の軍などが使用しているようなAK-47等を思い浮かべるとは思う。




 しかし、俺の手元にあるのはなぜかSIG716だ。


 まぁ個人的には好きだが。




「え?なんでこれが……」




 たぶん、これで自分の身を守れってことだろうが、あまりにもずさんな装備だ。




「プレートキャリアもないしマガジンも挿さっているのだけだし、セカンダリないし……。しかもパジャマのままって何さ……、とりあえず何かに着替えなくては……」


 プレートキャリアとは胸部と背中に防弾機能を持つプレートがあり、弾倉やライトなどの各種装備品を付けることのできるボディーアーマーの一種で、セカンダリとは、拳銃等を指す。



 とはいえ、あたりはさっきも言った通り、木以外何もない。


 鳥のさえずりも聞こえない。




 ただ風が木や草に当たりサラサラとした音だけが聞こえる。


 これまで社畜生活をしてきた俺にとっては、あの地獄から解放されただけでも満足だが。




 ここはお約束の異世界なのか?


 いや、それを決めつける証拠がいまは何もない。




 では、あまりにも使えなさ過ぎて、山にでも放りこまれたのか?


 それともだれかに拉致されて、どこかの赤道に近い国のジャングルに放り込まれたのかな?


 俺にここでサバイバルでもしろと?


 まぁ、暑くないしおそらく前者だろう。


 うん、間違いないしその方がいい、リアルサバイバルなんてやったことないから……。




 いまだに自分の状況をうまく飲み込めないままだったが、ふとどこからともなくどこかで聞いたことのあるような音が聞こえた―――。




 音の聞こえた方向を振りむいてみると、見慣れたi○ad似の物体がそこにはあった……。




 そう、あの超大国アメリカのスティーブ何某なにがしが開発した、i○ad似の端末を俺は手にとって見ると、その端末は事前にプログラムでもされていたかのようにひとりでに動き出した。




「こ、こいつ、動くぞ!」




 そして端末の画面上には、日本語でもアラビア文字とも象形文字ともいえない波うった文字が並んでいる。


 だが不思議とその文字は読めていた。




 どうやらここに来た時に何らかの“力”によってもうすでに言語は頭にインプットされてしまっているのかもしれない。


 さらに下の注釈を見てみると今いるところの言語だと書かれている。




「今、この端末(以下ライフサポートシステム:LiSMリズムと呼称)を貴方が見ているということは、無事にこの世に召喚、されたということです!」




 眺めていると、突然明るい女性のような音声が流れ始めた。




「しゃ、しゃべった!だ、と……。まだ、Hey!S〇ri!って言ってないのに!」




 何も言ってないのに、勝手にしゃべり始めるところから早速俺の知っているi〇adではないことは確かなようだ。




「急な出来事で意味が分からないとは思いますが、まぁ要はこの国が困っているから勇者的な存在を召喚したということです(笑)。ちなみに、この世界は現世で言うところの近世ヨーロッパぐらいの年代だと思ってください、ただし、この世界は魔物や他人種が出現します(これからが楽しみですね~)その話は追々召喚者本人から話してもらうとして……今回説明するのはこのLiSMのことについてです!」




「ずいぶんと、適当なこった」




 適当な説明を続けるLiSMとやらの説明に俺は軽く毒づくが、LiSMとやらはそんな俺に一切反応を見せることなく一方的に音声は続く。




「このLiSMは貴方をこの国を救うための手助け(&無双)してもらうために使用してもらうものです!このLiSMでは2020年までに開発されている武器・兵器を召喚することができます!」


「なんだって!じゃあ戦艦大和とか10式戦車とかM4も召喚できるのか!」


「そうです!但し、1年後には使用できなくなるのでご注意を!」

「えっ!異世界に送り込んでおいて使用期限があるの!そのあとどうしろって言うのさ!」


 チートみたいな能力を召喚させてくれるくらいなら、そういうところぐらいどうにか出来ただろうに、頼にもよって使用できなくなるって。そんな鬼畜仕様ある?


「そのあとは……、ご自身で考えてくださいっ、てへっ!」

「てへっ、じゃないでしょう!おいおい、それは無いだろう」


 音声はお茶目な声で「てへっ」等というが、言われている俺は穏やかじゃない。

 まぁ最悪、頑張って俺が現地で作れるようにするか……。


「とりあえず、試しに召喚してみますか」


 暗い事を考えていても何も変わらないと思った俺は、早速とあるものを召喚してみた。

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