93.戦艦召喚


「その大型艦は簡単に説明すると、まず船体は鋼鉄で造られていて、大きさは全て全長が200mを超える、航行する為には風ではなく自力で動力を発生させその動力によってこの世界の船の倍の速度を出し、遠くの大陸へと渡ることも可能なほどの航続能力を持つ、武装については最近陸軍の一部が配備を進めている“銃”よりはるかに遠く且つ破壊力も桁違いの“大砲”を積んでいて水平線の向こう側まで撃ち込むことも可能なほどだ、至近距離になれば各種艦砲や一度に大量の弾を発射することのできる“機関銃”によって応戦も可能な船だ……何か質問は?」


「質問も何も、我々には非現実的すぎて想像ができないので説明をしていただいたところ申し訳ないのですがなんのことか……」


「しかし陛下の話を聞く限り、それがわが軍に実戦配備されれば帝国海軍に一矢報いるどころか完全に叩きのめすことも出来そうですね」


 ヴィアラとミサは俺の話に興味を持ったのか身を乗り出して話を聞いてくれていた、ただそれよりも海軍の存亡がかかっている今、藁をもすがる気持ちでいるであろう。


 今回俺が行う召喚は、旧大日本帝国海軍が保有していた戦艦たちを召喚しようと思っている(やっぱり戦艦と言ったら日本のですよね)。


 そこで選んだのが大和型(大和・武蔵)、長門型(長門・陸奥)、金剛型(金剛・比叡・榛名・霧島)の8隻だ、特に選んだ理由はないのだが、大和型戦艦を選んだ理由を言うまでもないだろう、ただのロマンです……ハイ


 大和型戦艦は全長263m、最大幅38.9m、最大速度27ノット(約50㎞/h)、乗員約3,300名、主砲45口径46㎝三連装砲三基、副砲60口径15.5㎝三連装砲二基・40口径12.7㎝連装高角砲12基etc…(大和最終時)の戦艦で世界最強最大の軍艦として世界にその名をとどろかせている。


 長門型戦艦は(近代改装時)全長224.94m、最大幅28.96m、最大速度26.5ノット(約49㎞/h)乗員約1300名、主砲45口径41㎝連装砲4基、副砲50口径14㎝砲18門、40口径12.7㎝連装高角砲4基etc…(長門改装後時)の戦艦でこちらは完成時は世界最大の戦艦として建造され、連合艦隊旗艦も務めていた。



 金剛型戦艦


 金剛(第二次改装):全長219m、最大幅31m、最大速度30.3ノット(約54㎞/h)

 比叡(第二次改装):全長222m、最大幅31m、最大速度29.7ノット

 榛名(第二次改装):全長222m、最大幅31m、最大速度30.5ノット

 霧島(第二次改装):全長222.6m、最大幅31m、最大速度29.8ノット



 兵装:35.6㎝45口径連装砲4基、15.2㎝単装砲14門、12.7㎝連装高角砲4基etc…

 一番艦の金剛はイギリスで建造され(他二番艦以降は日本で建造)、速力は改装後30ノットと高速力を発揮。


 特に大和型が特筆すべきは、主砲46㎝三連装砲であろう。この砲は世界最大最強の主砲で、最大射程が40㎞をも超える(とはいえ40㎞先を超えた射撃となるとほぼ当てるのは奇跡に近い)。


 ただこの世界の船に対して戦うのであれば、どの性能もチート級の物にしかならないのでどれもあまり気にすることは無いのだが…...。

 とりあえず、最初に召喚するのは人員の育成や補給整備の問題から戦艦大和と武蔵の二隻にしようと思う。そして次の軍艦(大型空母やイージスシステム艦)を召喚するまで人員育成や練度を上げておきたい。


「……にしてもこれをうまく運用するまでに少し時間がかかりそうだな」


「それについてはご心配無用!実は操作方法や修理方法等はこのLiSMの能力によってその使う人たちに付与することができるからその部分は大幅に短縮できる、あとは何回か訓練すれば実戦投入は可能かと?」


「本当か!?もしそれが本当ならうちの自慢の海兵たちがうまくやってくれるだろう、ただ我々には残された時間があまりない、さらに次の敵の大規模な攻勢もすぐに始まりそうだ」


「では早急にキーレ港に人員を招集、早急に実戦配備するために準備を開始します」


「期間は一か月以内とする、そこまで形にはしておくように」


「御意!」


 指示されたキーレ中将はすぐさま部屋を出ていき海軍総司令部に隣接された中央艦隊司令部へと向かっていった。


「それでいて陛下、ここまでして頂いているなか申し上げにくいのですが……」


「陸戦隊の銃器について……かい?もうすでに銃は選定を済ませてあるから量の調節と後は召喚して訓練を行えばいいのかな?」


「流石は陛下!そこまで進んでいるとは!……因みにどのような銃なのでしょうか?」


「基本的に陸軍と同じ装備になるね、もうすでに実戦投入されているから信用できるものだし……何か気になることがあるかい?」


「……その言いにくいことではあるのですが、私自身そのようなことは無いのですが海軍内部の上層部が陸軍と仲があまりよろしくなく、さらに言うと対抗意識も持っているようなので“陸軍のおさがり”となってしまっては反感を買うかと思いまして……」


「そうか、そういうことなら別のもあるからそれにしよう」


 現在陸軍通常部隊にはSIG516とSIG P226を標準装備として配備準備中なのでそれに合わせて海軍にも同様にSIG516を配備しようと考えていたが、そのような反発を考慮するのならば海軍の装備はHK416とHK VP9にしていこうと思う(一部は両方ともに混在している部隊もあるが)。


 HK VP9はHK416と同じHK社が開発したG17と同じストライカー方式の9×19㎜弾を使用する自動拳銃で

 整備や補給のことを考えると少々厄介だが弾薬はどちらも同じ(SIG516・HK416ともに5.56×45㎜弾、SIG P226・HK VP9ともに9×19㎜弾)なのでそこは大きな問題にはならなそうだ。


 

「恐れ入ります」

「いや、大丈夫だよ、それより俺も港に行ってさっそく召喚を始めたいのだが」


「了解しました、ではご案内いたしますのですぐに参りましょう」


 話が終わるとすぐに二人は部屋を出ていく。

 その時ワタは気付いていなかったが、ヴィアラは小さくガッツポーズをしていた。

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