56.新しい仲間
「わかりました、じゃあ俺があなた方の処遇を決めていいということでいいですか?」
「ハッ!お望みとあらば奴隷にでもなりましょう、それでここの兵たちが救われるのであれば」
(えっ!せ……もとい奴隷ですと!手元に置いておきたいけど、なんにせよそんなことするよりも……)
俺は彼女らの着てきた軍服に注目した(今生き残っているのは何故か全て女性兵士)、リレイもそうだが黒い軍服を身にまとっていた、それこそあの第二次大戦での某枢軸国軍の戦車兵が連想されるようである。
(そうか!これはいける!)
「良し!城に戻ったら早速だがリレイさん、あなたには後ろにあるような“装甲車両”を扱ってもらうぞ!」
「は!謹んでお受けいたします、これより我々はあなたの指揮下に入ります、それと私のことはリレイとお呼びください!」
それを、聞いて安心したエレザは銃を納めていた。
「ワタ、そんなに簡単に受け入れていいのか?“国王”とはいえ命を狙われる身だぞ?もう少し警戒しておいた方がいいんじゃないか?」
「きっと大丈夫だよ、もしそこで死んだらそこまでだろう?俺は彼女らを信じる」
ユリーシャは先ほどの会話の中に何か彼女にとって悪いことがあったのか、慌てたようにこちらによって来る。
「へ、陛下、知らなかったとはいえ先ほどの数々のご無礼お許しくださいませ」
そういってユリーシャは地面に頭をこすりつけ許しを乞い始めた、同時に病的迄なほどに顔を真っ青にしたリレイも地面にひれ伏し、謝罪をしてきた。
「お許しくださいませ陛下、まさかこのようなところでお会いするとは知らず……これから我らをどんな使い方をしてもいいのでどうか無礼をお許しください」
「そんなこと気にしてないけど、だったらいっぱい“奉仕”してもらうんだからね(いろんな意味で)」
そんな兵たちを自分の指揮下に入れ、城へと戻っていく。
ついてくる兵士はみな死への恐怖がなくなって、硬かった表情が柔らかくなって笑顔で会話するようになった。
城に着くと、俺たちの異様な光景に城壁の門にいた守備兵たちは驚きを隠せない様子だった。
しかし、すぐに伝令が走り、しばらくするとエレシア自身がこちらに向かってきてくれた。
「おかえりなさいませ、陛下、これまた随分と多くの人を連れていらっしゃいますが何があったのですか?それとどなたですか?」
エレシアがそう思うのも無理もない、出ていったときは総勢7人しかいなかったのに、今や総勢500を超える大所帯となって帰ってきたのだ。
「いや、ついこの間まで帝国軍だったんだけどね、この司令官と話をしたら捕虜としてじゃなくて俺の軍門に下ったってんだ」
「陛下はなんと素晴らしい、あの敵を2度も退けるだけでなく、こうして引き連れてきてしまうなんてお見事です!これならセレナの援軍もいらないですね、一応この付近で待機してくれているみたいですけど、お帰り頂きますか」
リメリアはハミルトンから南に2㎞先に待機していた、ただ当初の作戦であった後方から敵を攻撃する手はずであったが、敵潰走で必要なくなったので遊兵状態だった。
「いやエレシア、リメリアにはここに来てもらおう、この後帝国軍を国境付近から追い出さないといけないのだから」
「承知いたしました、すぐそのように手配してまいります」
一連の会話をきいていたリレイだが、言いたいことが言えなかった状況に我慢ならずに、けど頭を下げながら若干早口でしゃべり始めてしまった。
「エレシア閣下!先の戦闘では貴軍に多大な損害を与えてしまい申し訳ございません。このリレイ、誓ってここの皆と共にこの地とこの国に身を殉じる所存です」
「もうリレイ、堅苦しいのはやめだ、謝るのもそこらへんにしておいてくれ」
「ハッ!失礼しました」
「と、いうことだエレシア、これからは急ではあるけれど仲間としてよろしくね」
「しかし、これらはどのように扱っていくのですか?」
「いい質問だエレシア君、それについては考えたことがある、それを使ってこの周辺から帝国軍を追い出して見せるつもりだ、それはね……」
そのことについて、話しながらワタたちは今日の宿へと向かっていった。
こうしてハミルトン城の防衛作戦は敵軍壊滅&捕虜?獲得で幕を閉じた――
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