6.セレデアへ
門の前には町に入るために並んでいる列があった。
その列に並ぶ人を見ると、いかにも冒険者のいでたちをしている人たちや大きな荷物を持った商人らしき人たちと多くの人たちが並んでいる。
エレザたちの順番になると衛兵たちが軽い質問と丸い水晶のようなものに手を触れさせていた。
どうやらあの水晶のようなものに手を触れるとほかの町で罪を犯したことや本人かどうかの確認が取れるようだ、前の世界でいうところの指紋認証のようなものだろうか。
俺の番になって、初めてなので何を聞かれるだろうかとびくびくしていたが、驚いたことに名前を聞かれて水晶に手をかざして終わり。
その理由は単純で、いろいろなところから冒険者や商人たちが入ってくるのでいちいち厳重な確認をとっていないようだ、特に大きな町になってくると、その町に入ってくるだけで長蛇の列ができてしまい、それが原因で様々なトラブルが誘発されてしまい様々な問題も起きてしまうからなのだという。
もし万が一怪しい人がいた場合、その怪しい人が水晶に触れたとたん赤く発光し、そうなってしまった人は即刻その場で捕らえられ、怖いお兄さんと仲良く個室で”お話”をするらしい。
このセレデアは王国内でも有数の繁華街で、門から町の中心までの全長1kmに及ぶ商店街、その商店街に隣接するようにノクス街と呼ばれる大きな風俗街があり、商会ギルドのセレデア支部と一緒になったデパートのような建物(六階建て)も存在する。
さらに、冒険者や他方から来た商人たちが泊まるための宿泊施設も多くあり、中でも銀竜亭とハミルコテージと呼ばれる二つはサービス内容が非常に良く、特に人気があるようだ。
セレデアにある南北の入り口のうち、俺達は南門から入っていった。
町に入るとすぐの所には大きな広場と大きな噴水があり、そこには露店や多くの人たちが集まっていた。
ちょうどその噴水を越えたところに大きな冒険者ギルドの集会所があった。
「ここで冒険者として登録しておけば何かと便利だろうから、さぁいくぞ」
「え、え?」
俺は強引にエレザに連れられて(というか引っ張られて)集会所に入ると、そこには多くの冒険者たちが情報交換もあってか立ち話をしていたり、窓際にあるテーブルには酒を飲み酔っぱらっている集団もいる。
そんな人たちを脇目に見ながら、俺とエレザは受付に向かっていく
。
入ってからは気づいていない人が多かったが、エレザの存在に気付いた人たちは驚きと尊敬の目で見ている。
対して、その後ろについていく迷彩服を着た俺に対しては好奇の眼差しで見られていた。
それもそのはずで、エレザはこの国の冒険者であれば誰もが知っている冒険者ギルドのギルドマスターだからだ。
しかし、そんな人たちの一部にはエレザに対して下品な視線を向けている連中もいた。
カウンターにつくといかにもガラの悪そうな連中が受付にいる女性に絡んでいた。
どうやら酒を飲んでいるらしく少し呂律(ろれつ)が回っていない、それでいて数人でその人を口説こうとしているようだ。
「悪いがその子に用がある、どいてくれないか?」
エレザは堂々とした態度で、ガラの悪い連中に声をかけていた。
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