第六話~カードゲームしようぜ~
いつもは何もないこの空間に、今日は煌びやかな神殿が出来ていた。
俺たちは神殿の中央で、激闘を繰り広げる。
「私のターン、ドロー」
サクレがカードを一枚引き、俺の方に視線を向けてニタニタと笑った。
「どうやら女神が私に微笑んでいるようね」
お前が女神じゃねーのかよとあえてツッコミをいれない。いれたらいれたでめんどくさいし。
「場にいる天使三体を生贄に捧げ、麗しの転生神サクレを召喚するわ。このカードが場にいる限り、相手は攻撃することが出来ない。さらに、私のターンの時のみ効果発動。相手フィールドにいるモンスターカードを選択、その攻撃力分のダメージを与えるわ。私は、ダーリンのフィールドにいるヒートミジンコを選択」
女神サクレの効果により、俺は1800のダメージを受ける。
俺のライフポイントは残り500。このままじゃ負けてしまう。すべては、次の引きにかかっている。
「こい、一発逆転のカード。ドローっ」
「っぷ、そんなの来るわけないじゃない。なんたって、私は女神なんだから」
人を見下したような目をしながら高笑いするサクレにイラっときた。だけど俺はやってやった。見事一発逆転のカードを引き当てたのである。
墓地のカードと手札のカードを確認。
これなら、勝てる。
「どうやら俺のほうに運が向いてきたようだな。俺は手札から、ミジンコフュージョンを発動」
「な、なにっ!」
「場にいるヒートミジンコとアクアミジンコ、木、エンジェルフォートミジンコ、エレメンタルエンシェントダークネスミジンコを墓地に送ることでーー」
「ちょ、ちょっとまってっ! 今ミジンコじゃない奴混じっていたよねっ!」
「ファイブ・ゴッド・ミジンコを特殊召喚する」
「私の話を聞いてぇ!」
何やらサクレが騒いでいるが、もう遅い。
これで俺の勝利は確定だ。
「ファイブ・ゴッド・ミジンコの効果発動。攻撃力、守備力を0にすることで、場のすべてのカードを破壊する」
「なんで、私は女神なのにっ!」
「お前が静止できるのは攻撃だけだ。特殊能力までは止められん」
「な、なにっ!」
サクレはちょっと涙目になりながら、場に出ているすべてのカードを捨てた。
そしてキリッとこちらを睨む。
「へん、攻撃力0になったら私にダメージがはいらないじゃん。私のライフポイントはまだ4000、このまま次のターンで終わらせてやる」
「残念だけどそれはない。俺は手札から、ミジンコの覚醒を発動。場にいるミジンコ族のカードを選択し、墓地にいるミジンコたちの数だけ攻撃力を500ポイントアップさせる」
「ふん、たかが500。えっと、ダーリンの墓地のカードは、ミジンコ族が7枚だから、3500。ふ、ふん。まだ足りないようね」
「ふっふっふ、よく見ろ、俺の墓地にはミジンコカウンターが乗っかっている。これはミジンコ族が墓地にいる時、毎ターンカウントを1プラスさせる。カウント一つにつき墓地には、ミジンコ族が1体いることになるんだ。ミジンコカウンターは現在5。つまり墓地にはミジンコ族が12体いることになる」
「な、なんでぇ!」
「攻撃力6000でダイレクトアタックだっ!」
「ぎゃーーーー」
たかがカードゲームのはずなのに白熱してしまった。だけどこれがまた楽しい。
サクレは勝負に負けて悔しかったのか、ちょっとだけ泣いていた。だけど、いい勝負だと言ってやったら、照れながら「えへへ」と笑っていた。まあ、機嫌が治ったからよしとしよう。
カードゲームにつかれてきたので、ちょっと休憩にしようかと話していた時のことだった。
どこからともなく時空の歪みが現れて、そこからゴブリンのような男とオークのような男が現れる。
「「俺たちとカードゲームしようぜ」」
どうやら今回の迷える魂がやってきたようだ。
「おいサクレ、仕事だぞ」
「なに、私と勝負だと、だったら見せてあげるわ。私とダーリンの愛の力をっ!」
「ちょっとまて、カードじゃなくて仕事してくれよっ」
唐突に始まったカードゲーム。俺はサクレとペア。ゴブリンとオークがペアでバトル開始。相手のゴブリンのターンから始まった。
「俺のターン、ドロー。ゴブリンを召喚、手札から王への道しるべを発動。場にいるゴブリンを生贄に、ゴブリンキングを特殊召喚する。さらにゴブリンキングが召喚されたことにより、デッキから渡りとついたゴブリン族を出せるだけ召喚する。ターンエンドだ」
何あいつ、1ターン目から本気なんだけど。なんかフィールドに5体のモンスターがいる。
「ふふ、次は私のターンね。ドロー。相手の場にモンスターが5体以上存在するとき効果発動、手札から麗しの女神サクレを特殊召喚する。このカードが存在
サクレはゴブリンに少しだけダメージを与えて終了した。
「じゃ、じゃあ、俺のターンなんだな。ドロー。俺はオークを召喚する。オークは相手がなんであれメスであれば、特殊な攻撃をすることが出来る。行け、オークっ!」
「ちょ、ま、そんなの来たら女神である私が汚れぎゃあああああ、汚れるっ!」
それはそれは丁寧に、女神様が汚されていくのであった。ちなみに変なことはされていないぞ。甘くて白いアレまみれになってしまっただけだ。
……誤解を生まないように、ミルクセーキとだけは言っておこう。
「さて、俺のターンだな。ドロー。手札から、オーバーロードミジンコを発動。デッキから対象となるカードを墓地に送ることで、融合デッキからカードを召喚することが出来る。ファイブ・ゴッド・ミジンコを特殊召喚。さらに、増える細胞を発動。場にいるミジンコを選択し、それと同名のカードを出せるだけ特殊召喚できる。あと2体のファイブ・ゴッド・ミジンコを召喚する」
「きゃ、さすがね、ダーリン」
サクレがとてもうれしそうに喜んでいた。さっきまで負け続けてきたからな。俺と一緒にいれば勝てるとでも思っているのだろう。
その考えが甘いのだよ、サクレ君。
「俺は場にいるファイブ・ゴッド・ミジンコを使ってシンクロ召喚。ゴッド・オブ・ミジンコを特殊召喚する。ゴッドオブミジンコでサクレを攻撃」
「……え」
サクレの場にいる女神サクレの攻撃力は3000。俺のゴッド・オブ・ミジンコの攻撃力は100000。一撃与えれば俺の勝ちだ。
ちなみに、ゴブリンとオークは二人そろって「えげつねぇ」とぼやいていた。
俺は容赦なくサクレを討伐。俺に倒されたサクレは号泣した。
それを無視してカードゲームを続ける。
「味方がやられたことで、神は地に落ちる。ゴッド・オブ・ミジンコを墓地に送り、災厄の魔王・ミジンコを特殊召喚。このカードが召喚された時、ゲームに勝利する」
「「そ、そんなバカなっ!」」
ゴブリンとオークは驚愕の表情をした。そりゃそうだ。女神をミルクセーキで汚した以外何もできなかったからな。
「……えいっ」
さて、そろそろ本題に入ろうかというところで、サクレは何かをやりやがった。
周りをよく見ると、ゴブリンとオークの姿がなくなっていた。
ま、まさか。
「あいつらがうざすぎてダーリンと遊べなかったから? メスのオークとゴブリンがひしめき合う場所にオスとして生まれなおさせてやった。後悔はしていない」
「なんてえげつねぇことしやがる」
この後めちゃくちゃお説教した。
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