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 地鳴りのような音で翔馬は覚醒した。


 何事かと思っていると、瞼の向こうがぴかっと光って、また雷鳴が轟く。雨が窓を打ち付ける音もしていて、外は大荒れらしい。


 何気なく動かしてみた右手に感触はない。小指にも、ない。


 目に一度大きく力を入れ、ぱっと開いて横を見た。




 彼女は、ゆっくりと瞼を開いている。


「おはよう、絵美」


 ぼんやりとした焦点が俺の目に合って、嬉しそうにはにかむ。


「おはよう、翔ちゃん」


 これから、何度でもこんな挨拶を交わしていける。




 深い、深いキスをする。未来への幸せに満ちた、新しい朝の目覚めのキス。




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