炎の魔法使いを追って

@moga1212

第1話

「はあっ、はあっ……」




 とあるマンションの一室で、汗だくになりながら男が目覚めた。




「クソッ、またあの夢だ」




 男の名前はロウ。


年は25で、殺人などの犯罪を追う捜査官をしている。


ロウの両親は自分が15の時に死んだ。


家で家族4人で食事をしている際、ロウと妹の目の前で、両親2人が突然、燃えた。




「わ、わあああーっ!?」




 人体発火現象。


しかし、それは事故死として片付けられた。


警察は、ガスの元栓を閉め忘れたことによるガス爆発、と原因を断定した。


納得のいかなかったロウは、その日から、両親が死んだ本当の原因を探すため、警察官を目指すことを決意した。




(ファイアガンは、俺が必ず捕まえる)




 ロウは、洗面台で顔を洗いながら、そう独りごちた。


















「ふあ~あ」




 机の上で、ロウは大きく欠伸をした。




「出社して早々、なんだそりゃ」




 隣の机のエドウィン(通称エド)が、こちらを見もせず、そう言った。


カタカタとパソコンを打つ音だけが響く。


ロウは、だらしなく椅子にもたれつつ、昨日夜中に目を覚ました事を説明する。


エドが吐き捨てた。




「そんな調子じゃ、一生ファイアガンは見つからないぜ」




「うっせ~な。 手がかりだってねーし、張り切ったって見つかりゃしねーよ」




「人体発火現象が関連してる過去の事件を調べるなり、色々あると思うがな」




「……っせーな」




 すると、一本の電話が鳴った。


別の島の捜査官が取る。




「はい、こちらシンジュクク警察署です」




 この平和なこのご時世、滅多に殺人など起きない。


特に多いのは、車による事故のトラブルで、その場合は近くの交番などにこちらから連絡を入れ直す。




「まーた事故か?」




 ロウが鼻くそをほじりながら新人のウエハスに聞く。


すると、ウエハスは机から立ち上がり、棚に置いてある携帯を手に取った。




「アパートで焼死体です。 携帯、3番持って行きますよ」




「ちょちょちょーい!」




 ウエハスが携帯を掴んで部屋から出ようとすると、ロウが扉の前にスライディングで立ち塞がる。




「俺が行くわ。 携帯、よこせ」




「えっ、先輩、珍し……」 

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