第2話

Canned hunting、そんな事は自分には関係ないし遠い世界の問題だ。本当はそうだろう。だが、なんとかできないだろうか、と思ってしまう。だが人間は、特に男は狩りをするのが好きな生き物。太古に狩りをしていた名残りだからと言うけど、そればかりなのか?基本、人間の悪い面で、意地悪な面がそうさせるのもあるのでは?追いかけて捕まえたり、追い詰めむて何かその相手に損傷を与えるのが好き。追い回す時が楽しくて、快感を得る。そうした事もあるのではないか、と思ってしまう。             以前、シアトルに住んでいた時の事を思い出すのだが、その時はサウスの方にアパートを借りていた。日本から連れて行き、又連れ帰った犬達がいるのだが、その中の一匹をそのアパートの敷地内で散歩していた。それは小型犬で、よく吠えるミニピンだが、その時に敷地内では小さな少年達が走り回って遊んでいた。大体全部で十人位いただろうか。敷地内なのでその時は親達は周りにいなかったが、年齢的には大体四歳位から六歳位だったろうか。その子達の近くを通ると二、三人の子が興味を持って犬を見て近寄って来た。いつも通る所だし慣れている子達もいるのだが、そうでもない子達が近付いて来た様だ。するとうちの犬がワンワンと吠え始めた。最初は黙って見ていたその子達は次第に怒り始めた。それで何か言ってからかい始めた。勿論大人の私と、私の母がいるので何もしない。だが、わぁわぁとスペイン語で囃し立てた。この子達は皆、メキシコ人だとかの、南米系の子達だ。サウスシアトルは南米系や黒人が沢山住んでいる。このアパートもそうだ。そして此処は犬を多頭飼いできる所だ。だから私達も此処に住んでいた。とにかく、だから私達も嫌だし早く通り過ぎようとしたのだが、この子達がそうしていると残りの子達も次第に集まって来た。そして囃し立てなくてもじっとうちの犬を睨みつけた。とても憎々しそうに。少し離れてはいたが、そう、丸で取り囲む様に。相手はまだ小さな子供達だが、丸で狩りをしている様に見えた。何とも嫌な、正直ある意味恐さがあった。もし私達がいなければそれこそ追いかけ回しただろうと思う。もしかしたら石でも投げつけながら。そして何処かに追い詰めたら、そこで又石を投げつけたり、何か棒でもあれば突付いたり打ったりしたかもしれない。そしてやりながら興奮して、それがもっとエスカレートしてくる。その相手の嫌がる、苦しむ姿を見て喜んで楽しくなる。          こんな風だから犬も立ち止まって怒ってもっと吠えまくる。だから私達も犬に声をかけながら、どんどんこの少年達から離れた。  こんな事は一度しか無かった。もし又あれば厳しく注意をしただろう。だがあの時の事を思い出すと、大人も子供もないな、同じだなと思う。特に男だから、狩りの本能が出たのだな、と。あんなにまだ小さくても…。

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