22章
アンたちが出発する朝に――。
子供たちは、泣きながらも2人を見送った。
「必ず帰って来てね、約束だよ」
「マナ姉ちゃん! 絶対に連れて帰って来いよ!!」
「また会えるもん……あたしたち……待ってるよ」
弱々しく
マナは目頭が熱くなるのを
マナは、その言葉に黙って
朝日がさす森の中を、3人は進んでいた。
途中、
アンは、自分の機械化した右腕を使うことはなかった。
それはマナに注意されたからだった。
アン自身は気がついていなかったが、
アンは森の中を歩きながら考えていた。
……マシーナリー・ウィルスは、感情の高ぶりに反応するとノピアが言っていた。
特に痛みや憎しみなどがスイッチになると……。
マシーナリー・ウイルスとは――
ストリング帝国の科学者たちが開発した、人体を侵食する細菌。
このウイルスは、体内で一定の濃度まで上がると成長し、
機械化したものは、人体を超えた力と速度で動けるようになるが、宿主は自我を失い、ストリング帝国の完全なる機械人形へと変わってしまう。
アンは、体内にまだウイルスがあることを思うと、気が狂いそうだった。
……大事な仲間は機械化して死んだ。
アンは、悲痛な
……私も機械になるのか?
もし機械になってしまったら、マナやシックスを殺そうとするのか?
いやだ!
そんなのはごめんだ!!
だが、いつ自分が機械化してしまうかわからない――。
そんなことを考えていたせいか、アンは着ているパーカーのフードを深く被って、顔を見えないようにした。
そんなアンの傍で、ニコが心配そうにあとをついていく。
シックスがふと木々の間から空を見上げると、黒い雲が青色を埋め尽くしていく。
「雨が来るな」
シックスは、背負っていたリュックサックから雨よけの
そして、アンとマナに渡す。
2人とも明らかにサイズは合っていなかったが、マナは余った袖をブンブン振って、「これ、かわいいッ!」と嬉しそうにはしゃぐ。
しばらく歩くと雨はが止み、3人が着ていた外套を脱いでいると、近くの葉っぱにカタツムリがいるのを発見する。
マナが、それを見て言う。
「わぁ~これがエスカルゴかぁ。美味しそう!」
アンは、そんなマナを見てから、
それから3人が森を抜けると、目の前には砂にまみれた街並みが見える。
シックスは、ここまで来ればもう少しだと言った。
だがアンは、もう少しだというのにこの街に人の気配がまったくないせいか、目的地に近づいているとは思えないでいた。
半壊した道路の上を歩いて行くアンたち。
途中でひび割れた道路の間から、サソリが何匹も飛び出してきた。
それに驚いたアンは、うわッと後ろに下がってしまう。
その顔は、薄気味悪そうにしていた。
だが、マナは反対に目を輝かせて言う。
「おぉ~ロブスターだねッ!!
口から少しだけよだれを垂らすマナ。
今にもサソリに向かって、飛び出していきそうだ。
「お前にとって、この世の生き物はすべて食べ物か」
そんなマナを見たアンが、無愛想に呟いた。
それから、
「お、おい!? どうしたシックス!?」
「えぇ~!? こんなとこで置いて行かないでよ~!!」
何が起きたんだと慌てるアンとマナ。
大きく声をかけたが、シックスは一人で前へと行ってしまった。
アンたちは急いで追いかけ、ようやく追いつくと――。
そこには、大勢の
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