倫理と懺悔と慟哭と

もこみち

第零話 追憶

 たった十年前のこと。



 五月某日、千葉県内のとある一家を一人の青年が襲った。

 加害者の男(当時十七歳)は少年法により顔や氏名が公に公表されることは無く、また、精神疾患の為幾度の入退院を繰り返した。



 判決は前例のないものだった。殺人を犯したにも関わらず三年の実刑判決。当時の日本は異例な判決に紛擾していた。


 裁判所は青年の精神障害、生い立ち、生活環境を考慮した上の判決であると述べている。

 


 後にこの事件は日本の少年犯罪史上最も残酷で理不尽な事件と見なされるのは言うまでもない。

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