産声
百点の人生を生きて欲しいと、
誰もが願った。
生きてみると、
百点からは程遠く、
及第点かどうかさえも、
疑わしい。
七十点はあったであろう、
幼少期
友人のおもちゃを壊して、
減点された。
(壊していないと言い張ったので厳しく指導された)
五十点はあったであろう、
少年期
親しい人の期待に背き、
減点された。
(どうやら親は子を選べないらしいので、私はきつく自分を罰した)
三十点もなかったであろう
青年期
人に言われたことを実行できないようで、
減点された。
(「言っちゃいけないことを言っちゃいそうだわ」、「人としてどうかと思うぜ」と私を評価する人たちに言われたので、どうやらそういうことらしい)
限りなく零点に近い、
現在
今日も酒が抜けずに目を覚まし、
誰かにひどいことを言ったのではないかと、
びくびくと怯えている。
産声をあげた頃、私を産んだ人たちは、
零点でもいいから、力強く生きて欲しいと、
命の誕生を、
祝ったらしい。
埃を被ったその事実が、
小さな一を私に足した
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