人間の肥やし

人が死んでしまうのは、

肥やしの不足が原因だろう

爪や皮膚の裏側にまでびっちりと、

養分が行き届いてさえいれば、人は死なない。

気づけば私は、みんなの肥やしとなっていた

はじめに、私の自由が肥やしとなった。

罵声を餌として生きる人間の糧となり、

殴打の快楽を餌とする人間の糧となり、

嘲笑を慰めとする人間の養分となった。

人間の肥やしとして、

私は必要とされていた。

人間の肥やしとして、

私が生を営む為にも

私は肥やしを欲した。

私の肥やしもまた、

いつか肥やしを欲して、私の元を去った。

彼が彼の生を全うする為にも、

必要があったのだ。

循環している

私たちはいつか、疲弊して

言葉を捨てる。

もう誰にも、会いたくないと。

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