珠響夢色

そつぎょうしない

ここには風がないな

天井は透けているのに

空気は淀んでいるのだろう


硬い金属質の板が音を割って

独り言を返してくるんだ


聞くところの話は

目の前の日常らしい

テレビの外のことらしい


大きく変わる

関係も、人間も、環境も

だけど何も失った気もしないな

感慨も何も

快感も何も

これって、ボクの何なんですか?

みんなみんな何なんですか?



ここは相変わらずだな

時計は進んでいるのに

日付は破けていないだろう


差し込む光が鏡を刺して

ボクの像を錆びつかせる


噂にあった群像劇も

事実の方がキレイらしい

意外に起こることらしい


今日で区切りだ

青春も、集団も、人生も

だけど何も失った気もしないな

感想も何も

余韻も何も

これって、ボクはどうなるんですか?

みんなみんなどうなんですか?



きっと変わらない

だから変われない

薄情な自分を皮肉っていても

向こうの笑顔は気づかないな

咲かない自分に散り際もないな


だから、さよならは言えないよ

何もないその他の思い出よ



つまらない小説よりも

醜い自分を進めよう

案外遠くまで行けるらしい


何もない節目だ

そして、だから、だけれども

背負ったものは下ろせないな

無駄をたしなんだ退屈も

思い出せない号哭ごうこく

これからだけど、ボクになれるか?

みんなみんなは関係ないな


こんな言葉にいつか音色が付けばいいなって

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