第42話 死人の森で、出会った魔術師
ミクラ大河の支流ではあるが、水には、多くの聖素が含まれている。そのため、水の上は比較的安全だ。川用の大きな船二台に、コロン車三台を乗せて下っていった。
なるべく洞窟の近くまで船で行き、上陸地点にベースキャンプを設営した。後は徒歩で進む。その日は、ベースキャンプで夜を明かした。
◇ ◇ ◇
「さー、出発しましよう。ここは、小ゴーレムに任せておけば大丈夫です。結界装置も作動させていますので、簡単には侵入できません」
男性陣は余り変わらない。シェリーも宮廷以外は、だいたい戦闘服なので変わらない。聖霊師は日頃の長いローブから、探検用の服に変わった。
アーノルドが笑いこけて、メリルキンの聖霊弾デコピンで座り込んでいた。
「まったく、狼の粗忽者は、変わらぬのー。約束通りにやってくれるわい」「わい」
僕とシェリー、アーノルド、メリルキンは徒歩で、聖霊師はモックに二つの椅子をつけた鞍に乗ってもらった。キャンプ用品は二頭のモックの背に乗せて出発した。
段々と森が深くなり、太陽が余り届かなくなってきた辺りで、やはり、アンデッドのお出ましだ。
しかし、双子の聖霊師が、ちょいちょいと指を回せば、周囲のアンデッドは、浄化されて消えていく。時々、メリルキンが聖素弾を飛ばして、頭を吹き飛ばしながら進んでいった。
すると、右横で火柱が上がった。
最初、警戒したが、どうも誰かがアンデッドと闘っているらしい。そして声がした。
「……コノヤロー、燃えろ……」
「しょうが無いな、少しあっちを回っていこう」
と僕は声のする方に近づいて行くことにした。
見えるところまで近ずくと、魔術師がアンデッドに囲まれている。
一応、火炎系の魔法で対処しているが、範囲魔法を使ってないので効果が薄い。
僕は、その魔術師に当たらないように、八芒星を矢で作りその中のアンデッドを焼き払った。そして聖霊師が、その魔術師を中心に浄化の魔法陣を発生させて、殆どのアンデッドを浄化して消滅させた。
僕たちは、その魔術師に近づき、声を大きくする魔法を使って、
「おーい、大丈夫か?」
と呼びかけた。普通、初対面の魔法使いとは、魔法通信は行わない。力量が判ってしまうからである。
その魔術師も、声を大きくして、
「大丈夫です。辺りにネクロマンサーがいます」
と言ってきた。
僕はアーノルドとシェリーに顔を向け頷いた。
アーノルドは僕の周りを警戒し、シェリーが瞬間移動で、少し離れた場所を警戒した。
魔術師が周囲を警戒しながら、こちらに近づいてきた。
僕はその魔術師にも警戒した。
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