ふたつめのステラ

浅倉 茉白

第0章 前世

星の願い

 ㅤ助けて。誰か助けて。


 ㅤわたしはみんなの願いを叶えるために生まれたんじゃない。


 ㅤいや。みんなの願いを叶えることが、嫌なわけじゃない。


 ㅤただ、みんなの願いを叶え続けるために、わたしの願いが一生叶わないことが……。


 ㅤ会いたい。わたしを救う、誰かに会いたい。


 ㅤ閉じ込められた世界の外に、星が、月が、あるはず。


 ㅤもしもこの声が届くなら、わたしの命を救ってください。


 ㅤ星のように生まれ、星のように死ぬ命。なのにわたしは、願いを叶えるまで、ここにいなくちゃいけない。


 ㅤそれならわたしはここで、願いを叶えたい。お星様、お月様。


——桜吹雪の中で、月と名乗る人が現れる。

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