vol.11 ~「Happy Ending」(1984) Joe Jackson~
蕎麦屋を見つけて、天ざるそばを食べる。
蕎麦ばかりは、その旨さの差がわからないメニューだ。
よく「この店が美味しい」とか「行列ができる」とか聞くけど、実際食べてみると、決して不味くはないけど、特別にどこが美味しいのかわからない。
まあ、どこで食べても当たり外れがないメニューとして僕の中では便利な一品だ。
「Happy Ending」by Joe Jackson
午後の一発目、軽快な曲を選んだ。
1984年のアルバム『Body and Soul』を僕は、確か、後追いで聴いた。
だけど、この「Happy Ending」が収録されている自作のエアチェックテープのインデックスには、しっかり“1984”年と書かれている。DENONの90分テープだ。
今まで取り上げたどの曲もヘビーローテーションだけど、この曲も、ほんとによく聴いた。
わずか3分半の演奏時間で、聴き始めてあっという間に終わってしまうのも、ヘビーにさせたひとつの理由だし、自作テープの1曲目で巻き戻しが簡単だったから、というのもまた理由のひとつだった。
自作のエアチェックテープは、ちゃんと数えてないけれど、400本くらいあると思う。
中学1年生から初めて、25、26歳までの間、時には必死に、時には黙々とエアチェックし続けた。
主なソースは、NHK-FMの『クロスオーバーイレブン』と、同じくNHK-FMの日曜日18時から、ビルボードTOP40を基にした、その名も『リクエストアワー』とういう番組だった。
大学生の頃から僕は自作のエアチェックテープに題名と“Vol.”をつけ始めた。まるで、アーティストがアルバム名をつけるみたいなノリだ。そのほとんどが英語の題名で、英和とか和英辞典とかをめくりながら名前をつけた。
英語なんて、からっきし才が無いので、今改めてみるとあやしい英文の題名がたくさんある。
テープの数が膨大になって、何の曲がどこにあるのか皆目わからなくなるのが嫌で、普段ではありえないような丁寧な字でインデックスを書いた。
ペンは、極細のやつを使い、きちんとしたゴシック体を目指して時間をかけて書いた。
途中から、“曲を聴くためじゃなくて、インデックスを書くためにエアチェックしてるのでは??”と思うこともあったくらいだった。
大学を卒業して働き出す頃になると、テープの種類が80分とか90分から、120分に変わった。その頃には、聴く番組も『クロスオーバーイレブン』のみとなって、曲を選ばず、“番組丸ごと録音”という贅沢な形になっていた。それによって、それまではFM雑誌の番組表のカタカナ表記の曲名を英和辞典で調べながらスペルを書いていた僕も、番組表をはさみで切り取ってテープケースに差し込む安直な方法に変わっていった。
この辺りから、“曲への執着”が薄れていったように思う。
経済的に120分テープを多く買えるようになり、録音した曲も選り好むことなくそのままにし、インデックスも切り貼りで終了。
今、“今の曲”があまり耳に残らなくなって、相変わらず昔の曲を聴いていたりするのは、なにも、今、世に出ている曲の“ネタ切れ”なのではなく、自分のそういった習慣からも来ているような気がする。要は、どれだけ真剣に曲を聴いて、どれだけ真剣に曲を手に入れているか、ということだ。
この「Happy Ending」は、イレイン・キャズウェルという女性ボーカリストとのデュエット曲で、アルバム『Body and Soul』の中では、ボーカルのパンチが効いていて、ひときわポップでノリがいい。ピアノがとてもかっこいいし、もちろん、ジョー・ジャクソンのサックスは言うまでも無く、いい。
この曲は、Vol.35 “COMPLETE PACKAGE”という自作テープに収録されている。どうやら、英文的には間違っていないと思うのだが(笑)
♪「Happy Ending」/ Joe Jackson
https://www.youtube.com/watch?v=bG-VEjd-hl4
現在地:山形県飽海郡遊佐町吹浦西浜で蕎麦を食べる。
https://www.google.co.jp/maps/search/%E8%95%8E%E9%BA%A6%E5%B1%8B/@39.0633951,139.8713722,14.25z?hl=ja&authuser=0
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