ずっとスーパースターで …

 


「め、珍しいな。突然どうした ?」


動揺がもろに声に顕れた。



・・・クッ !


まったく情けない ……水野に対する気後れだけは、いくつになっても変わらんな。



『3303だ』



「えっ ?」



『監督のマンション、調べてるんだろ ?』



「・・・トシから訊いたのか ?」



『ちょうど同じテーブルで飯食ってたところだ』


選手サロンでランチ中だったのか ?



「そ、そうだったのか ……だが ……無断で個人の情報をそんな簡単に他人に教えてよかったのか ? 」


・・・3303



『お前だって個人の情報を一般市民にそんな簡単・・には訊かないだろ ? 』


・・・


「俺が千葉の住居を知りたがってる。その理由は訊かないのか ?」



『特に関心もない』



「・・・そうか」


・・・俺は ……


「俺は今から違法な捜査をするかも知れない ……その為に千葉の住居をトシに訊いた。そして結果的にお前を利用したような形になった ……」


どういうわけか、本当の事をそのまま正直に口にしていた。


『違法だろうが合法だろうがどうでもいいさ。稔成が俺に “ タカさんの大事な事なので、知っていたら教えて下さい ” って言った。だから、俺はすぐにお前に知らせようと思った。ただそれだけの事だ』



・・・そうか、それだけのこと ……か


相変わらず透かした野郎だ。



『それに』


「ん ?」


『あのマンションの33階に千葉さんが住んでいるってのは、マンションの住人ならみんな知っている事だ。大した個人情報でもない』


「詳しいんだな」


『あのマンションは俺も何回か訪問してる。住人に身内がいるんでな』


・・・身内 ?



「・・・すまんな。とにかく助かった」



『気にするな』



「今、急ぐんでこれで切らせてもらう ……恩に着る」



『・・・下村』



「ん ?」



『お互い落ち着いたら飲みたいな』



「・・・ああ、落ち着いたら」



『じゃっ』



切れた。



・・・変わらないもんだな


18歳で ……初めて会った時から20年。


ずっとスーパースターで ……ずっと透かした野郎のままだ。



しかし ……



違法な捜査か。



思わず本音を言っちまったが ……あいつは歯牙にもかけなかったな。



ん ?



・・・そうか、違法捜査か

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