優深の片想い

「いじめか?」


「この間、プールに突き落とされて死にそうになった」


「・・・先生は ?」


「前に岩瀬先生に言おうとしたら、朔くんに怒られた」


「どうして?」


「そんなことしたら、天野が標的になるって」


 ・・・さすが大沢の息子


「優深は友達なのか?」


「微妙・・・優深の片想いだから」


 ・・・なんと


 そういう事は平気で言えるんだ。


「・・・首謀者・・・その・・優深はいじめのリーダーを知ってるのか?」


 優深は少し考え込んだ。

 深刻に思い詰めてるようだ。


「全生徒」


「・・・? どういう」


「首謀者は全員」


 ・・・ひどい話だな

 学校は何やってんだ


「俺が学校に行って、抗議してもいいか?」


 優深はまた少し考え込んだ。


 ・・・どうせ、大沢は気付いていまい。しかし母親も気づかないのかな?


「タカさんが行って、手帳出したら大騒ぎになるよね。でも、もう学校が大騒ぎした方がいい段階かも知れない」


 ・・・恐いくらいの冷静なジャッジ。手帳なんて出すつもりはないが・・・


「じゃ明日にでも行ってみるか」


「夏休みです。先生ほとんどいません」


「・・・そうか、じゃあ学校始まったら」


「はい、よろしくお願いします」 


 ・・・俺、誘導された?

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