第3話 真島百合亜
「私の国を助けてほしい」
その言葉を聞いた瞬間僕の心は最高潮達するレベルで高ぶった。
私の国を助けてほしいってことは僕らは勇者になる…ってことでいいんだよね?ほんとに小説の中みたいだ。これは夢か???夢でいないでほしい!!
そう心から願っている僕の頬を右から伸びた手でおもいっきり引っ張られた。
「い、いひゃいっやめへっ」
その手は少女のものだった。僕が何を言っても一向に止まる気配はなく、右手で少女の手を払いのけた。
「なにをするんだ!」
そう怒鳴ると少女は
「あ、ごめんごめん。痛かった?」
と悪びれるそぶりも見せず言った。
僕は「痛いに決まってるだろ」と言い返すと右手で頬を抑えた。少女は、「なら夢じゃないんだね。」と言った。
「いやー、痛かったら夢じゃないっていうじゃん?試してみただけだよんごめんね✩」
とへらへら笑いながら言った。なんなんだこの子は…。
その光景を黙ってみていた魔術師は、「うぉっほん」と大きな咳払いをすると、「はなしのつづきをしていいかね」といったので、僕も少女も頷いた。
「君たちも気になってはいただろうが、この無数の扉にはそれぞれおぬしたちの住んでる世界とは違う世界への扉じゃ。で、あの一番上にある扉がわしの世界の入り口じゃ。」
そう言われて僕らは上を見上げた。手すりも何もないコンクリートでできた階段の一番上は、約高さ百...いや、目では推定できないほど高かった。
「わしの国は今危機なのじゃ。なのでおぬしたち…わしの選んだ勇者たちに助けてほしいのじゃ。」
勇者という言葉に過剰に反応した。マジでキタコレ…。
僕はもちろんOKの返事を出すき満々でいた。
ただ…彼女はどうだろうか…。
僕は隣を横目でチラ見した。なんとその少女はもうすでにいなかった。
はあ!?どこ行ったんだよ!!
僕はあたりを見回すと直ぐ近くのピンクの扉に入っていった。
「まじゅ…お、おじさん!彼女があの扉に入っていったよ」
魔術師は慌てたようにピンクの扉に向かう。僕も後を追うと、目の前に広がるのは、ムーミン谷に出てきそうな風景、きのこの謎の生物たちが野原をかけ、踊りを踊っていた。その中に紛れるように彼女はおどっていた。
すぐさま魔術師に腕をひかれあの異空間に連れ戻されていった。
「勝手に行動する出ない!」
と魔術師に怒鳴られ「だってだって」と言い訳をしようとしたがそれを遮るように「話の続きをお願いします。」と僕が言った。
「うむ、そうであったな。というわけで勇者になってはもらえぬか、リスクも危険もあるがそれだけの刺激があり成功の報酬は…そうじゃな、おぬしらの望みを一つかなえよう。それでどうかな?」
望みをかなえるだって!?これはOKするしかないだろう。でも…学校もあるし母さんも心配をかけさせてしまう。僕の変わりはいくらでもいるんだ…。
僕はそう考えると断りを入れざる負えなかった。
「僕やっぱり…」という声を遮って、彼女は「はぁいっ!やるやるやりまーす!」と元気よく挙手をした。
「ね、君もやるでしょ!?」
と僕の手を握ってきた。
「え、でも僕は…」
「そうかやってくれるか!」
いやまだ何も答えてないんですけど…。
「私真島百合亜!高校二年生です!」
マジかよ、僕と同じ年齢かよ…。
百合亜と名乗る少女は、「君は?なんていうの?」と笑顔で詰め寄ってきた。
「ぼ、ぼくは…、
木原結人です…。」
「じゃあ早速その国へレッツゴー!」
もはや何でもよくなった。こうなってしまったらやるしかない。
こうしてぼくは半ば強引に、国を助けに行くことを決意したのだった。
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