第133話 武者震い

「それじゃあアレック君またね。ジーヌさん達にもよろしくって言っておいて」

「はいホリさん、また会いましょう。それまでお体大事にして下さい」


 一通り街での買い物を終え、頃合いを見て街と外を繋ぐ門の近くまでアレック君と二人でやってきたところで別れの挨拶と握手を済ませた。

 彼と別れそのままその場から門へ向かい歩き出し、途中で振り返って見送ってくれる彼に手を振ると全身を使って手を振り返す子供のような対応はせず、深々と頭を下げてきた。

 どこまでしっかりしてるんだろうかあの子は。


 感心しながら俺の方へ睨みを利かしていた門番に話しかけると今日は知っているおじさん達ではなく、少し若い人。彼の出してきた質問にいくつか返答をしつつ、書類を出すと出国の許可が出た。


 俺以外にも外へ流れていく人波に乗るように大きな門をくぐりそのまま街の外へ。

 遠くの空を眺めてみても雲一つなく、今日も良い天気になりそうだ。


「んん……? どうしたんだろう」


 それ程街から遠くない場所、緩やかな傾斜の丘までの道中、何やら道を少し外れたところで座り込んでいる女性……、少女がいる。


 白い帽子と白いワンピース、そしてプラチナブロンドの髪が特徴的な、幼い見た目も相まってまさにお人形さんのような容姿の彼女の輝くような茶色の瞳が見つめる先には片方だけの靴が置いてあり、その少女は少ししょげた顔をして地べたに直接座り込み、それを見下ろしている。

 履いていた靴の片方をダメにしてしまった、というのはその紐が切れた片方だけの靴と彼女の片足が教えてくれた。


「大丈夫ですか?」

「えっ?」


 現代日本ならば美少女に話しかけるというお巡りさんこいつです案件だがここは異世界、その心配もいらないだろう。ほんの数日前にここの周辺にモンスターが出たばかりなのだし、何かあってからでは遅い。


 俺の方を見上げてきた彼女のぱっちりとした瞳と視線を交わしたものの、俺が一言問い掛けた後に少しの間この場は沈黙に包まれた。


 彼女との間に流れている無言の空間、そしてその間中ぱっちりとした目に見つめられ続け、気持ちが押し潰されてしまいそうになり次の言葉を急いでしまった。

 何だろう? 不思議な迫力がある子だなぁ……。


「すみません明らかに怪しい者ですが、何か手助けが出来ればと思った物で」

「ええ、と……、はい。実は靴の紐が切れてしまいまして。同行してくれていた者が代わりの靴を取りに街へ戻っているのですが、まだ戻らないのです」


 大きな瞳を街の方へと移してそう説明をしてきた彼女は次に、目の前に置かれた靴を手にして、悲し気に話を続けてきた。


「久しぶりに街の外へ来たのでお気に入りの靴を履いてきたのですが、こんな事に。悲しいです」

「そうですか……。ちょっとそちらの靴を見せて頂いても?」

「? ええ、……はい」


 彼女の手から靴を受け取って見てみたが、足首に細いストラップを巻き付けるタイプのサンダルのそのストラップ部分がぶっつりと切れてしまっている。うーん、これくらいならこの部分をどうにかすれば何とかなりそう。


「ちょっと待っててくださいね」

「えっ、はい……?」


 鞄の中からラヴィーニアから貰ったアラクネの糸を出し、下準備を済ませて目の前の少女に糸の一部分を差し出す。

「ここ、持っておいて貰えますか?」

「は、はい……」


 以前にトレニィアから糸を紐にするやり方を教わっておいてよかったな。

 彼女の持っている糸と俺の手にある糸を数本使い、無言でやっているのもなぁと糸にまつわる有名歌手の歌を鼻歌混りにアラクネ直伝の独特な編み方の紐を作っていくと目の前の少女は固唾を飲んで見守っている。


 出来上がった輝く紐、トレニィア程綺麗に編み上げる事は出来なかったが、僅かな時間で仕上げた割に中々良い出来だ。仕上げに少女の手から紐を渡してもらった後に、心の中でチャッカマーンと叫び指先に灯った火で両端を少し炙れば紐の完成。


「まぁ……」

「後はこの靴に、……よし。すみませんがこれで一度足に結んでみて頂けますか?」

 修理を終えたサンダルを彼女に手渡してみると、彼女は微笑んで頷いてきた。

 どうやら怪しい人から、怪しいけど靴を直してくれたいい奴くらいには思って貰えたようだ。


「あ、ちょっと待って下さいね。えっと何か手頃な布は、と……」


 鞄の中から出したのは鉱石粉を使った布。持っている布はこれしかないが……、まぁいいか人助けだし。ラヴィーニア達には後で抱き着いてお礼を言っておこう。


 鉱石布を使い、足首に紐を巻きつけようとしている少女の肌を傷つけないように布を使って保護をしておいた。強度は折り紙つきの鉱石粉を使った糸の紐だし、靴擦れ防止のようにしておいて損はないだろう。彼女の足首に巻き付けたのも安心安全の鉱石布だし、これで大丈夫だ。


「どうですか?」

 結び直したのを見計らって手を差し出してみると、躊躇う事なく慣れた様子で俺の手を握りしめそのまま立ち上がってきた。

「ありがとう。うん、大丈夫みたいです!」


 数歩歩き出して靴の確認を済ませた彼女は溢れんばかりに良い笑顔となり、喜んでいるがそれ程ゆっくりもしていられない。こうしている間にモンスターが現れたりでもしたらそれこそ大変な事態に陥る。


「それなら急いで街に戻った方がいいですよ。つい先日ここで魔物に追いかけられたので、せめて衛兵さんの居る場所まで戻った方が何かと安心でしょう」

「それは恐ろしいですね、そうさせてもらいます。ありがとう旅の御方、この御恩は忘れません」


 少女は軽く頭を下げてそのまま歩いて行ってしまった。

 見えなくなるまで見守ろう、と最初は思っていたがそこまでの面倒を見ていられない。モンスターが出たらそれこそピンチに陥るのは俺も同じ事だ。

 歩いている状態を見ていても不自由はなさそうだったし、後は無事を祈るとしよう。


 少女と別れて目的地へ向けて歩いているが、今日は魔物に襲われるような事も無く平和そのもの。グスタール周辺の道は舗装されていて歩きやすいのでまさにピクニックのような気持ちになる。


 それほどの疲労も無く、あっという間に目的地の森へとやってくる事が出来たが、問題はここから。魔物に襲われる事も考えてファッサァマントをいつでも使えるようにしておくとしよう。


 唯一と言っていい森の中にある通り道、そこだけ整備された道があるが足跡などは殆ど無く、人が通ったような形跡などはない。


 これからカーリンやフロウに会うのだから、人の目に触れる事がないと思えば安心できるが、あの二人に会うまでの時間に人間ではなく魔物に遭遇してしまったらと考えると別の意味で怖い。


 風で揺れただけの木々や茂みの小さな音にすら過敏に反応してしまう。幽霊の正体見たり枯れ尾花、という訳じゃないがこうしている今もいつ何が飛び出してくるか分からない。


 飛び出さないで動物の森、と心の中で念じ、慎重に歩いているとすぐ傍の木から割と大きな鳥が飛び立っていき、その大きな音にびくついてしまった。

 何だ、鳥か……! と大きく息をついて、緊張で硬くなってしまった体を和らげ高鳴る心臓を落ち着かせるように努めた。


「おいホリ」

「ひゃぁぁっ!」


 深呼吸をして自身を落ち着かせている時に真後ろから声をかけられ、つい大声が出てしまった。振り向くとそこには俺が出した大声に驚き、顔に皴を寄せてこちらを睨んでいる大きなワンコがいた。

「か、カーリン……」

「どうしたんだいきなり。迎えに来たぞ……なっ、なんだ急におい」


 いきなりだからびっくりしてるんだ、と言いたいけどわざわざ迎えに来てくれた彼女に言うのもあれなのでその言葉はぐっと飲みこみ、その分抱き着いてわちゃわちゃと毛をモフらせて貰うとしよう。


「よし、帰ろうかカーリン。あれ? そういえばフロウは……」

「フロウはいない、ウォックらと何かやる事が有ると言っていたぞ。昨日や、今日も早朝から拠点全体が何か慌ただしくしていたな」


 何か問題が起きたのだろうか?

 フロウやアナスタシアを始め、拠点全体がっていう言葉が何か怖いなぁ。


「んー、それなら皆が忙しくしているところに俺が戻ると大変だろうから、ゆっくり帰ろうか。アナスタシア達がいるんだから大丈夫だよね」

「わかった、毎度毎度背中で叫ばれたり汚されたりするのも堪らんからな。それなら行くとしよう」


 巨大なワンコの背中に跨ると、それを確認したカーリンが比較的ゆっくりと走り出し始める。先程までの不安な気持ち、それはもう彼女の背中に居るというだけなのに霧散している。

 可愛い動物って偉大だ。


 今日は急がない。

 その言葉の通り、ゆっくりとした進行で振動も少ない為、いつも怖い思いをさせられている乗り心地も今日に限っては悪くない。


 ついついもふもふの毛並みに抱き着いてわちゃわちゃと手を動かしてしまう程に楽しい帰路だ。

 カーリンも最初はやめろと言ってきたが、何度も抱き着いていると流石に諦めて自由にさせてくれた。


 道中、問題らしい問題はなかった。

 先日通った森の中は通らず平原の道を行き、更には天気の良さも相まって気分的にはカーリンの散歩のようになっている。

 走っているカーリンには申し訳ないが楽しい、疲れる事はないし振動もないので体も楽だ。

 一度休憩をした際にカーリンの様子にも気を配ったが、口では嫌だ嫌だと言っているが尻尾はビュンビュンと揺れているのでそれ程嫌でもないのかもしれない。ツンデレめ。


 それから少し時間が掛かりはした物の嘆きの山が見え、鬱蒼とした森が見える場所にまでやってこれた。

「ここからは少し飛ばすぞ。フロウとウォックに『ホリを乗せて森を通る時は出来る限り飛ばせ』と忠告されたんだ。少しだけ我慢してくれ」

「? わかった。ごめんね色々と面倒をかけて。その代わり拠点に帰ったら後で一緒に風呂にでも入ろうか。汚しちゃうかもしれないからね」


 その言葉を聞いて尻尾がピン、と空へ向いた彼女だが、その表情は険しいままこちらを睨みつけてきた。

「フン、誰がお前なんかと風呂に入るか全く! お、おいやめろ!」

「よーしゃしゃしゃしゃ! 今日は何の香りにしようかなー?」


 ぶつくさと言いながらペースを速めたカーリンだったが、先日の時のように木々の合間を縫うような危険なルートを取る事もせず、比較的安全なルートを通ってくれている。


 リーンメイラが前に言っていたな『カーリンは優しい子だ』って。

 母犬の為にボードゲームを欲しがったり、こちらが苦しんでいる時にそっと助けてくれたり、こういう時に無言で気を使ってくれたりと、憎まれ口を叩く事が多いがやっぱり優しい子なんだな。


 がしんがしんと全身に走る振動が伝わり始め、悪戦苦闘を強いられていたがそれの甲斐もあってかそこから時間をそれほど要さずに、ポッドの姿が見える場所までやって来る事が出来た。

「ついたぞ、大丈夫か」

「うん、ありがとう。結構時間かかっちゃったけど、疲れてない?」


 ポッドが見えてからはまたゆったりと駆けているカーリンに聞いてみたが、頷いて返してきた彼女は疲労の色を全く感じさせず、問題は無いようだ。


 普段ならポッドの居る場所から畑仕事をしている者の姿が見えたりもするのだが、今日はその様子も無く、やはり先程カーリンが言っていたように皆忙しいのだろう。


「ただいまポッド」

「おう、おかえり。ホリよぉ、ワシでペトラの薬の実験をするのはいい加減止めろ。流石にこの前のヤツはやばかったぞ」


 ポッドは身震いするように葉をざわつかせてその当時を思い出しているようだが、ペトラの新作はそれ程の破壊力があるのか……。

 是非ゼルシュ辺りで試してみるとしよう、それだけの効果が期待できるシロモノを遊ばせておくなんて勿体ない事は出来ない。


「まぁそれは追々考えるとして、皆はどうしたの? 何か忙しいって聞いたけど」

「そうみたいじゃな。ワシも詳しい事は聞いておらんが……、確か虫がどうとか言っておったぞ。ほれ、あっちの畑の方を見てみい」


 聞かなければよかったと一瞬で後悔をさせられる内容につい頭を抱えてしまう。


 ポッドの視線の先には、何やら防護ネットのような物がソマの実畑を覆うように新たに張り巡らされていた。

 俺が旅立った時には無かった物だ、これをこの短期間で設置したのだろうか? 


「何でものう、この周辺に大量の虫がまた来とるらしい。ペイトン達がアラクネの嬢ちゃん達と『アレ』設置しとったぞ。どういう訳か、今回はほぼ全員が相当焦っとるみたいじゃったが……」

「マジで……? つまりみんなは今、虫退治に追われてて忙しいって事? そんなに追い込まれるくらいに切羽詰まってると?」


 うむ、と返してきたポッドについ頭からもたれかかるように項垂れてしまった。

「よりにもよって、何でまた虫が……」

「それなんじゃがなぁ……」


 俺の口から出た小さな呟きに目の前の大木が少し揺れ、ざわざわと葉が騒がしくしている。普段ならリラックス効果のありそうなポッドやトレント達の葉が生み出す波の音も、状況によっては怖く感じる。


「もしかしたら、トロルの件が関係しとるかもしれん」

「トロル? 大発生の時の、クイーンとか出た時の?」


 またも深く頷くように返してきたポッド、彼は今この拠点に迫り来る脅威について話し始めた。

「あいつら、あのトロル連中は森の至る所であらゆる生き物を殺したな? そして奴等自身も相当な数が森の中で死んでいる筈じゃ」

「うん。おかげで森の中全体が酷い事になってて、それの後始末に大変な思いをしたけど……。それがどうかしたの?」


 ポッドと俺の言葉を聞いて、隣で座り込んでいたカーリンも渋い顔をして唸り声を上げている。俺ですら悪臭で涙が止まらない状態になったのだ、カーリン達臭いに敏感な種族には地獄のような物だっただろう。


 ポッドはそんなカーリンに構う事はなく、話を続ける。

「そんなホリ達が見た森の中でその後に起きる事っちゅうと、腐肉を喰らうモンがそれはもう活発になる。何せそんな連中からしたら森全体が宝物庫みたいな状況じゃからの。そしてそれの影響が色濃く出るモンの一つに虫連中がいてな」

「もしかして……」


 ポッドの言葉を聞いて頭の中を駆け巡った可能性、そしてペイトン達が設置したという畑のバリケードをちらりと見ていると、ポッドは静かに返答をしてきた。

「うむ。大量に、それはもうしこたま繁殖をした虫連中は、森の中の食料となる物を粗方食い尽くすと今度は臭いを辿るんじゃ。そして、ここでまた問題が出てくる」

「まさか……、ここに埋めたトロル達の……?」


 ポッドが何を言いたいのか、大体わかってしまった。

「そう、奴等はここの地中に埋めたトロルの死骸の臭いを察知してここに向かって来とる。それでなくてもここには食い物がごまんとあるしの、森まで距離があるから大丈夫と思っておったんじゃがのー」

「つまり、今あの森に虫の飯が無くなったから、今度は虫連中が食う物目当てに大挙してここに来ようとしてるって事?」

「うむ」


 どうやら俺が想像していた以上に事態は切迫しているようだ。

 それでも森からここまでかなりの距離だ、拠点にいる殆どの住人が駆り出されるような問題になるとは思えないんだけど……。


「相手の虫もな、別にそれ程増えなけりゃ悪い虫じゃないんじゃ。死骸や生き物のフンを食って、肥しにしてくれる訳じゃし。ただのう、腐肉を喰らう事もそうじゃが悪食、そしてどこにでも住み着くから色んな種族に嫌われとるようじゃが……」

「トレントからしたら良き隣人って感じか。どんな虫なの?」

「恐らくこいつだろう」


 俺やポッドの傍で伏せのポーズで休んでいたカーリンが可愛らしい感じで右足を前に出して、何かを捕まえている。


「んー? なんだなんだ、一体皆を悩ませているのはどんな……」

 彼女の前足の下にある物、それを見て思考と呼吸が止まってしまった。そんな俺に構わず、カーリンはソノ物体に視線を落とし説明を続ける。


「ゴキローチだな。フロウ達はコイツを追い回していたのか」

「そんなに問題になる連中でもないんじゃが……、ホリ? どうしたんじゃ」


 カーリンの足の下で蠢く虫、足に隠れているので全貌は見えないが見覚えのある二本の触覚。間違いない、奴だ……! こ、こいつらが大挙してここに押し寄せてる……? そ、そんな……。 


「ぽ、ポッド? たい、大量に繁殖っていうのは、一体、どれくらいの数がいるの……?」

「お、おう? そうじゃなぁ……。正確な数はわからんが……」

「ホリ、どうしたんだ? 大丈夫か?」


 何かを押さえ付けているカーリンが俺の身を案じるように俺の腕に自身の鼻先を擦りつけてくるが、彼女の頭を撫でる手が震えているのが自分でもわかる。

 聞きたいような聞きたくないような、聞かなければいけないような、聞いてはいけないような……。何かを思案しているポッドの次の言葉に恐怖を駆り立てられ、居ても立っても居られない。


「夜空に瞬く星の数ほどいるんじゃないか? 数が多くて例え方が他に思いつかんのう」

「あぁぁぁ、ぁあああああ……」

「ほ、ホリ? おいホリ? 一体どうしたんださっきから」


 衝撃の事実を聞いて足に力が入らず、ふらふらとしてしまった結果ポッドの幹に頭を擦りつけるように項垂れてしまった。


 アナスタシア達には感謝を捧げよう、きっと彼女達は俺の為に頑張ってくれているのだ。そして、拠点全体が忙しいという理由にも合点がいった。


 ここにある畑、ソマの実が成る畑はこの拠点の生命線だ。それに、皆の頑張りが実を結び始めてようやく収獲が出来るようになってきた数々の作物をこの虫共に蹂躙されるなんて……。


「やるしか、やるしかない……! 殲滅しなきゃ……」

「ホリ……?」

「一体どうしたんじゃ……?」


 体が震えるのは怖いからじゃない。これはきっと武者震いだ。

 この拠点を守る為に、戦わなければ……!


「カーリン!! やる事が出来たぞ!! 協力しろ!!」

「は、はいっ!」


 まずはあそこを掘り返さなきゃ……、拠点の皆の力は借りられない。俺一人でやり遂げなければならない。カーリンの背に跨った俺は彼女に場所を指示してポッドの元から離れた。


「ホリ、ここは確か……」

「カーリン、お前はここから離れろ。悪臭で酷い目に遭うぞ。後は俺一人でやる」

 目的の場所に着き、一つ深呼吸をする。俺の鼻では異臭や悪臭の類は一切感じないが、敵がここへ向かって来ているのはわかっている。それならばやるしかない。


 そう、これは……。


「ホリ……?」

「大丈夫だ、全て終わらせて皆で一杯やるぞ」


 これは生存戦略、聖戦なのだ!

 俺はトロルクイーンが眠る大地に、スコップを振り下ろした。



※またも長くなってしまったので、分けました※

※すみません※

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