体育の授業

 一応、息子は、地元の一般小学校から、リハビリテーション病院内の支援学級に『転校』している手続きになっている為、当然の事ながら小学校一年生としての授業がありました。リハビリの間を縫って行われる授業で、勿論、体調も優先される為、毎日何時間も授業がある、というような形式のものではありませんでしたが、様々な事に取り組ませて頂くことが出来たようで、勉強したり、何かを作ったりした成果を手に、息子も得意気に話す事が多くありました。


 平日に行われる授業の見学はなかなか出来ませんでしたが、唯一、見学させて頂くことが出来たものが、体育の授業でした。体育館で行われ、体育の先生と共にラジオ体操から始まり、車椅子バスケットボール、ストラックアウト形式のボール投げ、バドミントン、ボッチャ、卓球等、様々なスポーツを、40分間で行いました。自分の出来る事、出来ない事を話し合いながら、準備や後片付けもやる授業を、息子は心から楽しんでいる様子でした。終始笑顔で、時に自分の身体の現状についての理解を深めながら、懸命に体を動かす息子を見たわたしも、こんな日が迎える事が出来るとは思っていなかったので、言葉では表現しきれないような喜びで、身体が震えていた事を覚えています。


 息子はルールの理解が良好、との事で、退院後、一般の学校へ通うようになれば、体育の授業内容によっては、参加する事の出来ない場合もあるとは思うけれども、そうした場合も審判や得点係の役割を担うのも良いのではないか、とのアドバイスを体育の先生から頂き、更に可能性を感じた見学でした。


 ちなみに、後日息子に、車椅子スポーツで何が好きかを聞いたところ、全部、と言われました。保育園でも活発な方だったという息子の事、きっと、歩けない、走れないという現状は、悔しく、辛いと思っているだろうとは思いますが、ここで車椅子を使った体育、スポーツに触れあうことが出来た事で、やはり身体を動かす事が好きだ、と思えたようでした。その中でも、特に選んでもらったところ、バスケットボールとバドミントンは、かなり楽しいそうで、競技選手の試合も見てみたいそうです。2020年、パラリンピックが日本に来るので、いまからチケットを取って、見に行く約束をしています。もしかしたら、競技としてやるとか言い出すかな?と思いつつ、そうなったらそうなったで、世界で一番輝いてもらおうと思っています。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る