蝉の声

べたりと張り付く前髪を

鬱陶しそうに掻き上げて

肌に跳ね散る白々しさは

僕の心脈をひねって殺す


四角いモノクロの中

落ちそうに滴る汗は

さながら水晶の様に

永遠を美しく過ごす


この身体が求める欲は

彼女の澄み渡る汗の香り

内で立ち込め歪むのは

僕の濁りきった汗の臭い


灰被った青空の水平線

歯は白く溌剌と輝いて

黒目がちの潤んだ瞳に

空虚な白濁が這い廻る


彼女は

蝉の声


目回る様な

八月のこと












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