子ども時代を必死に思い出してみる
一言で表すならば、外の世界と連絡が取れなくて途方に暮れていた。
あの時。
だから必然的にわたしはひとりで、“*ちゃんみたいにはなりたくないよね”とくすくす笑われる用の存在で、恥ずかしくて悲しくて気まずかったけれど、そうかといって友達になろうと近づいてくれる親切な子がいると、余計慌てた。
だってわたし、年の近い子とどうやってお喋りするのか分からない。
コミュニケーション能力が欠落していたのだ。
一緒に遊んでくれる子さえいればみんなと溶け込めて遊べる、そういう高度な技術を持った子どもじゃなかったのだ、わたしは。
ごめんね。ごめんね。
わたし、誰かと遊ぶとか喋るとかするだけで緊張して、顔が引きつって、肩に力が入って、終いには頭がずんずん痛くなるの。そういう駄目な子なんだよ。
いじわるな人より優しい人の方が怖かったりするんだよ。親切にされてるのに応えられない、いつか嫌われるって。
あの時のわたしは決まって月曜日の五時間目や炎天下での体育で頭痛に悩まされていたな。
アトピーで肌や頭皮が汚いのが恥ずかしくって、それから寝るときはいつも鼻が詰まって寝つきに苦労した。四六時中お漏らししてた。
お母さんにわたしを見てもらいたくって、絵を褒めて欲しくて、子供部屋に学校で描いた絵を自分で飾った。直接お母さんに渡したら捨てられてしまうから。
それから、それから、あとは何だっけ。
そうだ。ずっといい子になりたいと思ってた。
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