＊原液①＊

薄めたくない。本当のことを書きたいし、本当のことを知りたい。

ずっと濃いまま保存出来たら。そしたらいいのに。

人の本質や本音に踏み込んで、ぐらぐら揺さぶれたらいいのに。

形にしたい。

そうしないと逃げそうだ。

忘れそうだ。

いつかどうでもいいと、思ってしまうのが嫌で嫌で悲しくて怖いのだ。

＊どういうわけか＊

伝えたいこと程、巧く伝わらないのは一体どういうわけなのか。

言葉は簡単にきゅっとしぼんで、縮む。

あんまり言えない。

優しいこととか、あんまり言えない。言ったつもりだけど、伝わってないかも知んないし。

悲しい気持ちは、上手に他人にプレゼンテーション出来ない。いつも平気なんだと思われてしまう。

『どうしてそう思うの』の言葉は私を急かして追い立てるようで、勝てない。私のその気持ちはその質問によりぐるっと掻き回され、拡散される。

きいて。きいてよ。

「あの、あのね」

「わたし」

「わたしね、」

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