「犬派と猫派」

陸上部の恩田が部室に遊びに来た。大城と猫談義に花を咲かせている。

「へぇー! 恩田君、猫飼ってるんだ?」

「うん。すっごく可愛いんだよ。写真見る?」

「見たい! やっぱ動物は猫が1番可愛いよね〜」

そのやり取りを聞いていた俺は、思わず言った。

「いや、犬だろ」


急遽、部室で会議が開かれた。

「では犬派の主張、どうぞ」

「はい」

議長であるマネージャーに指示され、俺は立ち上がる。

「犬は賢いし、カッコいい。その絆はペットの枠を越えている……猫じゃ、家の番は出来ないだろ?」

すると、対面の席に座っている『猫派』の恩田が挙手をした。

「猫派の恩田君、どうぞ」

マネージャーに発言を許可され、恩田は口を開く。

「確かに番には向いていないかもしれない。だが、猫だって賢い。自分の家が何処にあるか分かるし、飼い主との絆もちゃんとある」

恩田の主張は止まらない。反論の域を越え、熱心に語る。

「何よりあの顔! 肉球! ボディ! ずっと見ていられるね!」

「成る程……」

マネージャーは恩田の話に聞き入り、頷いている。

マズい。このままでは犬派が負けてしまう!

「ガラガラー!」

その時、漫研の女子が部室のドアを勢いよく開け放った。

どうやら俺達のやり取りを聞いていたらしい。そのままズカズカと中へ入ってくるなり、言い切った。

「いいじゃん。どっちも可愛いんだし」


「ちなみに私は、イグアナが好き!」

「私は鷹とか鷲とか、鳥類が好きね」

「第3勢力……?!」


2018/12/10③

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る