敬具。

暴力的だったって今ならとってもわかる

私の墓標がいくつも並ぶ砂漠のオアシス

これは昨日の私でこれは昨晩の私

私の私が泣いて泣いてオアシスを作っている

だけど死体は埋まっていなくて

ここに立つ私は昨日の私の死骸の寄せ集め

よく水浴びをしていくのがセオリー

私は私

君に殺された私

ただもうすぐ新しくなっていく

視線に射止められたから視線を向けてもらえなくて

私は死んでしまったの

つまり失血死

だけど今はどうでもいい

広義で言えばどうでもよくないけれど

君を刺すなら私のことすら道具にしてしまおう

服を脱いで誘惑してしまおう

猫なで声でナイフを突き立てよう

そして私は血を吐き被害者になろう

不思議なことに私を道具と知りながらでも愛してくれる物好きは

意外といるみたいだ

だからさ

私は私のまま愛されてみるよ

君には妬ましい?

取り戻したいなんて言わせてみたいよ

王子様っていつか呼んだ君のことをたくさん呼ばない

君の潜在意識ならとっくのとうに読んでいるから

あとがきから読んでしまったから

愛してね

取り返してね

私は君を待っているの

そしたらもういいよって

中指立てて言ってやるんだよ

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る