第63話 『気にしない、大丈夫、なんともない』

『気にしない、大丈夫、なんともない』



怪我をしたり、どこかに痛みが出たり、苦しかったり、つらかったり、落ち込んだりすると妄想の世界に突入する。


この怪我が元で手足が腐り落ちてしまうかもしれない。

この痛みや苦しさは、何か大きな病気の前兆かもしれない。

なんだか息がしづらい気がする。

もう私は死ぬんだ。


少し何かあるとどんどん悪い方へ考えてしまう。悪い癖だ。


昨日も人差し指の血管の上をぶつけた。刺さるようにぶつけたので、皮膚がへこんで紫色になって、ものすごく痛かった。


血管が破れたかも、なんかおかしなことになって指が動かなくなるかも、血管の破れたところ(破れたことは脳内確定してしまっている)から腐って指が無くなるかも、と考えれば考えるほど頭が痛くなり、胃もムカムカと気持ち悪い。

ヤバイ。脳内血管が切れるのかも、胃が気持ち悪いのは何か悪いものを食べたのかもしれない。食中毒で死ぬ?


しばらくグルグルと負の妄想に取り憑かれたあと、はっと我に返る。


あ、いつもこれでなんともないんだった。

怪我もほっとけば、3日もあれば治るんだった。

もう忘れて、1週間経っても治らなかったらまた考えよう。


そして全快。

一瞬にして全快。


体の不調もないし、怪我の痛みもやわらいだ。


また「病は気からだった」


何もなくてありがたい。ありがとう!


気にしなければいいんだ。

倒れてから考えればいいんだ!


そして今日も自分に言い聞かせる。

『気にしない、大丈夫、なんともない』

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