第54話 忘れた?!

『忘れた』



これは娘のお話。


「お母さん、お母さん!」

「これ見て、これ見て!」


いつものように嬉しそうな顔をして興奮状態で駆け寄ってくる娘。


ベンチタイプの椅子に横から座ろうとして、足をぶつけた。


『ゴッ!!!』


結構すごい音がした。


「お母さん、このチョコ見て!すごくおいしそうじゃない?高いんだよ~🎵」


と満面の笑み。


(今、すごい音したけど?)


心配になって聞いてみた。


「今すごい音したけど、すね打ったんじゃない?痛くないの?」


「え? 忘れた」


「忘れた?そんなことある?すごい音したよ?」


「そう? 忘れた」


「痛くないの?」


「そんなことより、このチョコ見て~」



と、チョコの話をして、チョコを味見させてくれて満足気な娘。

やっぱり憧れてしまう。

いつもいろんなことを気にしすぎる私とは正反対だ。


私も些細なことは気にしないようにしよう!

そして呪文を唱えよう。



『え? 忘れた』

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