もしも悠利が女の子だったら(エイプリルフールネタ)
「「却下」」
「えー……」
異口同音に周囲に言い切られて、悠利はしょんぼりと肩を落とした。大きな瞳に落胆が浮かんでいるが、周囲は意に介さない。
可愛いのに、と呟いた声は黙殺された。
そんな風にしょげている悠利を、レオポルドはぽんぽんと肩を叩くことで慰めた。出来るオネェは今日も気配りが見事だ。
なお、周囲が悠利の希望を却下した気持ちも、解っている。解っていないのは悠利だけなのである。まぁ、いつものことかもしれない。
「仕方ないわねぇ、ユーリちゃん。皆が言うんだから、諦めなさいな」
「うー……」
「というか、あたくしが云うのもなんだけど、貴方にそれは似合わないわよ?」
「可愛いのに」
ぷぅと唇を尖らせる仕草は愛らしい。幼く見える外見と相まって、なんとも庇護欲をそそる。うちの子可愛い!みたいになっている面々がいる。
そう、悠利は可愛い。ぽやっとした雰囲気も、普段は自分のことに頓着しないマイペースさも、いつだって裏表の存在しない真っ直ぐさも。全部合わせて悠利の魅力であるし、そんな悠利を仲間達は大切に思っている。
大切に思っているからこそ、全員で止めているのだが。そして悠利だけがそれを解っていないのだが。
何かを言おうとする仲間達を押しとどめ、レオポルドが口を開く。お洒落に全力を尽くすオネェの言葉であるならば、悠利も素直に聞き入れる。今までの経験からそれを知っているからこそ、彼はこれが自分の役目だと真面目な顔で言葉を発した。
「露出系はもうちょっと育ってからにしなさいな」
「はぁい」
シースルーのミニワンピを手にした悠利は、可愛らしく返事をした。そういう問題じゃないという過保護な仲間達のツッコミは、届かなかった。
(終)
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