　ヨウコを傷つけることが怖かった。

　感傷だけど、あいつがたまに独りで自分という袋小路を眺めているときの瞳を俺も知っているから。

　一緒に行こうと言ってヨウコの手を取ることをしてこなかった。

　俺達の関係が互いの事情ありきなのが後ろめたかったんだ。

　それでも、俺の手を最初に取ってくれたのはヨウコだ。あいつが俺を救ってくれたことは本当なんだ。

　それなら、俺はあいつと進もう。

　傷つけることもあるだろう。拒まれてしまうかもしれない。

　それは怖いし、どうなるかもわからない。

　わからないから。怖いから。立ち止まっていた。

　だけど俺達の明日はそっちじゃないはずだ。

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