班
「なんで俺ら呼び出されてんの・・・」
「さぁ・・・?悠斗絡みじゃない?」
「なんで」
土曜日、休日。
とは言えドールズに休みなんてものは基本ないのだが任務がない場合は基本休みなのだ。
「お前、昨日か一昨日、派手に暴れただろ、それ絡みなんじゃねぇーかって話だよ」
「あはは、僕たちなんにも関係ないんだけどね?」
マイクが苦笑交じりに愚痴を言う
「・・・まだそうと決まったわけじゃぁ・・・」
ごめんごめんとマイクに背中を叩かれる
他愛もない会話をしていたところにドアが開く音ともに二人の女の人が入ってきた
「またせちゃったね」
外見は20代後半の黒髪で若い女性
「あ、いえ」
呼び出されていたので誰かが来ることはわかって履いたが突如として現れた大人に戸惑っていると
「ん?あぁ自己紹介がまだだったね、私の名前は
「分隊指揮官ですか・・・」
「そう、で、こっちが」
最上さんは一緒に入ってきたメガネを掛けた少し小柄の女性を手で指し
「はじめまして、最上さんの指揮のもと各班の観測オペレーターのユーフォリア・アンセムです。よろしくね」
笑顔が優しい女性だった
「観測オペレーター・・・もしかして・・・」
「どうかしたの?嶺二?」
「・・・いや、まさかな」
少し考え込んでいた嶺二が顔を上げると同時に最上さんが本題を話し始める
「さて、君たちここに呼び出された事情とかってわかってる?」
汗が頬を伝う
「それって・・・」
「この馬鹿がやったトラブルのことですか?」
僕より先に嶺二が口を開いた
「トラブル?あぁ訓練場爆破事件の事?あれはすごい惨状だったって聞いたよ、すごいね君、訓練器であれだけの惨状を作れるなんて。」
あははと笑いながら話す最上さん
「嫌でも違うよ、まぁきっかけはそれであるけれど」
「じゃあなんですか?」
「じゃあ単刀直入に言おう」
一呼吸おき最上さんが口を開く
「君たち、三島悠斗、葛城嶺二、マイク・A・シュライバー。君たち3人には私の分隊に加わってもらう、そして3人の班を組んでもらう、そのオペレーターがユーフォリアだ。以上」
「まさかな・・・」
急展開だった
「分隊って僕たちまだ新兵のC級ドールズで・・・」
「実戦で経験を積むのが一番手っ取り早いし、これは命令だ。拒否権はないと思ってくれ」
「・・・」
「でも心配しなくていいよ?なにも今すぐレイダーぶっ殺してこい!!って言うわけじゃない、最初は他の班の援護から始まって徐々に経験値をためていこう。私達は君たちに期待しているのだよ?」
「なぜ・・・ですか?俺たちはなんの成果も上げていません、期待されるフシがどこにもないのですが」
「そうだね、たしかに戦果はないだけど実戦から生還することも立派な戦果だ」
実戦からの生還・・・それって
「前の軍用エリアに侵入したレイダー討伐作戦の・・・?」
「そう」
「そうですか・・・」
二人は何かを考え込むように顔を下げる
恐らく、レイダー討伐作戦の際、何もできなくてただいただけでそれが戦果になるのか?問うことで悩んでいるのだろう
でも
「僕はありがたい話だと思う」
「あ?」
嶺二が間抜けな声を上げる
「だいたいお前たちの考えはわかる、どうせあのとき自分たちはあの場にいただけ、何もしていないだとか思ってんだろ?だけどそれも考えようによってはその場にあった判断ができていたってことになるだろ?だからもっと自信持っていいんだよ・・・たぶん」
「・・・」
嶺二とマイクがキョトンとした顔になる
「な、なんだよその顔」
「いや・・・まさかお前にそんな事言われるとは夢にも思ってなくてな・・・」
「うん・・・なんか大人になったね・・・悠斗」
「・・・馬鹿にしてるだろ」
一瞬の沈黙のあと三人はフフッと笑い
「あぁ、そうだなお前の言う通りかもな」
「うん、情けない姿を晒すのもあれで最後だね」
二人の顔が心なしか明るくなった気がした
「うん、決心がついたようだね」
最上さんがパンと手をたたき注意を集め話を始める
「じゃあ、早速だけど任務だ、いけるね?ルーキ?」
「「「はい!」」」
僕たちはこれからレイダーと本格的に向き合うことになる
だけど僕たち3人ならなんとかなる
そんな気がした。
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