一番素敵な贈り物
勝利だギューちゃん
第1話
思春期ともなると、子供は親に対して反抗的な態度を取る。
第2次犯行期だ。
まだ親のありがたみを、理解出来ない時期。
なので、仕方がない。
でも、それはいい。
自分もそうだったし、いい歳をして、親離れ出来ないようでは逆に困る。
だが・・・
「パパの後の風呂に入りたくない」
「お父さんのと一緒に洗濯しないで!汚い」
そういう態度を取ったら、ぶん殴る。
人として言ってはならない事だ。
で、娘が私の洗濯ものを、わりばしで掴む場面に出くわし、思わず手が出てしまった。
娘は、「お父さん、大嫌い」と言っていたが、後悔はない。
家を飛び出していったが、ほっておこう。
私には別にいいが、クラスメイトとかに同じ事をしていないかが心配だ。
「娘さんには、手をやいてるんだね、君も・・・」
「ああ、こんなに苦労するとは、予想外だったよ」
「昔の君なら考えられないね」
「着かず離れずといきたかったがな・・・」
電話が鳴った。
「もしもし」
「こちら○○県警ですが、香田さんのお宅でしょうか?」
「はいそうですが」
「失礼ですが、真二さんは御在宅でしょうか?」
「真二は私ですが・・・」
「娘さんが、万引きをしました。すぐに来てくれますか・・・」
電話を切る。
「しんちゃん、出かけるの?」
「ああ、娘がな・・・クリス、後は頼む」
「OK」
警察に着く。
娘が、こちらを一瞥して下を向いた。
「娘さんがですね」
「何かの間違いでは?」
「えっ」
「娘は、万引きするような子ではありません」
「ですが・・・」
「私は、娘を信じています」
「ですが、目撃者がいて、現に娘さんも・・・」
「間違いです。」
警察官の私は、娘の非を認めなかった。
「もし、娘さんが万引きをしていたら・・・」
「私が責任を持ちます」
「・・・さん・・・」
「お父さん、もういいの・・・私、やったの・・・本当に・・・」
娘は泣き崩れた。
「わかった。もう何も言うな・・・」
黙って娘を、抱き寄せた。
後の事はいい・・・
「しんちゃん、凄いね」
「何がだ」
「娘さんの事」
「私は、当然の事をしたまでだ・・・」
「でも、しんちゃんと、こんなに長い付き合いなるとはね」
「クリスも、もう一人前だな」
「まだまだよ」
「娘さんは?」
「しばらくは、そっとしておくよ」
朝起きたら、私の部屋のドアのところに、娘からの手紙があった。
【お父さん、ごめんなさい。そして、ありがとう・・・】
「娘さんに、伝わったかな」
「さあな、でもこの手紙は、墓場まで持っていく」
「まだダメだよ」
「ああ」
娘とは少しだけ距離が縮まった。
先は長いが、今はこれでいい。
さてと、仕事をするか・・・
「しんちゃん、お仕事?」
「ああ」
「今度の絵本の題名は?」
≪一番素敵な贈り物≫
一番素敵な贈り物 勝利だギューちゃん @tetsumusuhaarisu
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