騒音譜 2
湿原工房
1.熱病
天の川の旋回に
いくつかの太陽はすでに老い
魚の目の凍るすきまへさしはさまれた男根に
桜がちる
病床もまた真空で熱病を冷ましているから
どんな豪快な言葉の投げようもない
海に射す月光は跳ね返され
一条の光の柱の幻影に裂けていく
その裂け目から響く絶叫が誰の耳に届くことのあるか
ただ苦痛のみの身となって
鰹の削り節かなにかになればいい
しけった削り節だ
いじけたカラビナだ なにを繋ぎ止めようとしたのか
46億年を殺した畳の上で
おはじきをまた
小指の爪で線を引く
惑星の豊かに寄せる憐憫の殺到
険悪な宇宙をまた思い出すなら
哲学の道から出で有れと熟れ
かなしく熟れてこぼて
シチューの時間を思考の罹患と聞き間違えた夜
またカラスが鳴く鳶が鳴く丹頂も鳴けば熱病も鳴く
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます