また、会えたね
勝利だギューちゃん
第1話
「ねえ、あなたは幸せ?」
「さあな」
「わからないの?自分の事なのに・・・」
「ああ」
「どうして?」
「知らん」
問いかけに、オウム返しに返事をする。
「あなたにとっての幸せって何?」
「訊いてどうする?」
「参考までに・・・」
「答えたら、君はそれを、叶えてくれるのか?」
「無理だよ・・・」
「だろうな・・・」
幸せの基準は人により違う。
自分が幸せと思う事が、相手に取っても幸せとは限らない。
その逆もしかり・・・
「お金?」
「いらん」
「地位?」
「違う」
「名誉?」
「無用」
確かに社会的に見れば、それらを得た者が幸せに見える。
でも、当事者はそうとは限らない・・・
「友達いる?」
「いない」
「彼女はいる?」
「友達いないのに、いると思うか?」
「だよね・・・」
声の主は、今僕の背中越しにいる。
女の子であるのは、確か・・・
でも、顔は見えないし、見たくもない・・・
「ねえ、手出して」
「えっ」
「手出して」
言われるままに手を出す。
女の子は握ってくる。
「恋人つなぎだよ」
「恋人つなぎ?」
「うん。恋人って腕を組む人達が多いけど、
あれは、一方通行だし、前を向いてないと無理だよね」
「ああ」
「でも、恋人つなぎは、互いのぬくもりが相手に伝わるし、
こうして、背中越しでも出来るよね・・・」
「何が言いたい?」
「つまりね・・・」
「うん」
「君がみんなに笑顔を与えれば、君も笑顔になれるってこと」
僕への2人称が変わってる・・・
これは意図的なものだろう・・・
「じゃあ、そろそろ失礼するね」
「もう、会えないのか?」
「ようやく、少し心を開いてくれたね」
「えっ」
「大丈夫、会えるよ」
「いつ?」
「君しだい」
僕しだい?
声は途絶えた。
もう会う事はないと思っていた。
仮に会っても、顔が知らないのでわからないだろう。
そう、思っていた。
でも、その声の主は違った形で現れた。
僕が、心から幸せと感じた時に、現れた。
僕は、すぐにわかった。
【やあ、また会えたね】
また、会えたね 勝利だギューちゃん @tetsumusuhaarisu
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