御影様のオカゲサマ!!__影の世界のプロフェッショナルに、なんでもお任せを!!__

合歓_kouka_

prologue


多種多様なモノが息づく広大な世界、地球。その地球から数百億光年もの先にある惑星で、我々を常日頃から見守っている影たちの生まれ故郷がある。

その惑星の名は、『影球えいきゅう』。影たちが我々のように日常を過ごしているこの星は、土地や地理さえも地球のように設計されている。ただ、少し地球と違うところを挙げるとすれば、影球の生命体は半永久的に存在すると言うことと、影球側にとって地球の知識は義務教育で習うレベルのものなのに対し、地球側はほぼ無知に等しいということだ。


まず、影とは何者なのかを説明しよう。

影たちは影球では各々の過ごしやすい姿で暮らしている。大抵、見た目の姿に「影」とつけて種族を表している。例えば、人の姿で過ごしている者は、影人えいじん。犬の姿だと、影犬えいけん。鳥類だと、影鳥えいちょう_____という感じだ。因みに畜類も人の言葉を喋れるモノも多い。影の仕事についてはまた、いつか“ 彼 ”が説明してくれるだろう。


影についての基本設定はこれくらいにして……登場人物紹介でもやるとしよう。

執務室の中に響く、万年筆が文字を記す音。その万年筆の持ち主は、世界影球連盟日本支部影王えいおう____即ち、日本で言う総理大臣に位置する偉人ならぬである。

彼の名はゲンジ。影球連盟では全員その国々の軍服を着用することが義務付けられているのだが、彼の着るその服は通常のものより金の色が多くトップの風格を漂わせる。


その時近づいてくる、カラコロという下駄の音。

妙に歩む足に力が入っているその様子に、何か思い当たるところがあるのか、ゲンジはピタッと手を止め、利き手である右手を震えさせた。怒りではない、完全に怯えている。冷や汗まで垂らして、国のトップがビビっている。もう一度言おう。彼は、である。


「______ゲンジさん。今日までだったはずの書類が結構ありましたよね?終わりましたか?……まさか書類全部失くしたとか言いませんよね?ねぇ??」


扉がバァン!!と激しい音を立て開いた。

蹴っ飛ばしたのだろうか、長い足が思いっきり伸びきっている。

ゴゴゴ……と効果音でも出してそうなくらい恐ろしいオーラを放っているその男。少し高めの下駄に、黒をベースにした軍服に黒い外套を羽織っている彼。元々容姿もスタイルも良く異性から大人気なのだが、徹夜明けなのかできている真っ黒い隈のせいで、元来悪いと言われる死んでいる目つきがさらに悪くなっている彼。


世界影球連盟日本支部御影みかげ担当______________________________


________________________ケイである。


そう、彼こそがこの作品の主人公。御影____即ち、影王の側近である。

さて、説明はこのくらいにして状況を戻そう。


「あ、ああ、ああああ、あのだねケイ君。べ、別に隠したわけでも無いんだよ!これにはそれ相応の理由g」

「紛失に相応の理由などない!!とにかく探せ!死ぬほど探しなさい!!」

「うぎゃあああぁぁああああぁああ!!!!!!!」


対して広くもない執務室の中を走り回り、逃げ惑う影王。

常備している鞭を振り回しそれを追いかける御影。


偶然扉の外の廊下からそれを見た職員はそれを見て、

「今日もだな。よし、仕事頑張ろう!」となる。


あの、一応言うが、


この二人は日本の影の世界のツートップであり、めちゃくちゃ偉い人である。










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