ドキドキ

勝利だギューちゃん

第1話

思春期の男子なら、誰もが想う。

「同じ年頃の女の子と歩きたい」と・・・

俺もそのひとりだ。


今、俺はそれを、現実のものとしているが、

全く嬉しくないし、ときめかない。


今、俺の隣を歩いている女の子は、ブスではない。

むしろ、100人いたら100人が、美人かかわいいと答える。

間違いない!


て、どこかのピン芸人のネタは置いておいて・・・


嬉しくない原因は・・・


「何、ぶつくさ言ってるの、置いてくわよ」

「へいへい」

俺は急ぎ足で、その女の子の元へ行く。


「覚悟しておいてね」

「何を」

「逃がさないからね」

逃げようがない。


周りは、特に男どもは恨めしそうにこちらを見る。

そんなに、この女といるのが羨ましいか?

なら、変わってやるよ。

いくらでも・・・


心の中で悪態をつく・・・


「さあ、ついたわよ」

「やっぱりやるの?」

「もちろん、さあ来なさい」

女の子に引っ張られる。


「あのう、やっぱり、明日で・・・」

「だめ、あんたは早く治療しないと、手遅れになるわ」


連れてこられた場所から、悲鳴が聞こえる。

ドリルの音が・・・


そう、歯医者。

この女の子は、歯医者の一人娘。

俺は患者として、連れてこられた。


女の子はいう。

「ポイントカードあげるから」

「いらん」


歯磨きをしなかった事を後悔したが・・・

いくつになっても、歯医者は怖い。


「手、握っててあげようか?」

「・・・お願します・・・」


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

ドキドキ 勝利だギューちゃん @tetsumusuhaarisu

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る