応援するよ

勝利だギューちゃん

第1話

昔、ギャルげーというものが、流行った。

今もあるかもしれないが、当時の人気はすごかった。


僕も、最初はそれなりに楽しんでいた。

でも、だんだんと、腹が立ってきた。

それは、主人公。

あまりにも、自分と違いすぎる。


まあ、大抵高校が舞台なので、思春期の女子というのは、

不良とか、悪ぶっていたりする男に、魅力を感じる。

そいつらが少し優しくすれば、「本当はいい人」と、思われる。

僕のような、異分子は遊びの対象に過ぎない。


まあ、そういう現実を忠実に再現しているのだが・・・


しかしまあ、暇つぶしになる。

自力でクリアする気は、さらさらない。

結末さえ見れれば、満足なので、攻略本を買ってきた。


そして、一通りクリアする。

性格はいろいろだが、不良が好きという点は同じ。


「さてと、次はこいつでいいか・・・」

何人かクリアして、5人目だな。

全部で12人。

多いな・・・


これまでのEDは、結婚とかけおちと同棲と現状維持と・・・

よくもまあ、制作サイドも考えるものだ・・・


5人目の子は・・・ああ、遊び人ね。

よし、攻略本を置いて、他の子は無視。


スタート

「こら、いんちきするな。自力でクリアしろ」

な・・・なんだ?

どこだ?


「どこ見てるの?画面の中よ。PCの中」

「・・・君?」

画面の中の子は頷く。


今からクリアしようとしていた、5人目の子だ。

えーと、名前は・・・なんだっけ?

「立花美雪よ」

ああ、そう書いてあるな・・・


「あんた、自力でクリアしようと思わないの?」

「思わない」

「どうして?」

「意味がない」

「それいっちゃ、おしまい」

さてと、無視して続けようか・・・


「ちょっと、待ちなさい」

「なんだよ」

「自力でクリアするのが、スタッフさんへの礼儀よ」

うるさい女だ。


「わかりましたよ。がんばってみます」

「よろしい。健闘を祈る」


静かになった・・・


仕方ないので、自力でクリアした。

この子のEDは・・・本当の恋人ですか・・・


まあ、遊び人という設定だったからな・・・

深いかもしれない。


「よく出来ました」

「見てたのか?」

「当たり前でしょ?今回のメインだったから・・・」

現実では、僕には無理だな・・・この子・・・


「ねえ、君」

「僕ですか?」

「うん、最後にひとついい?」

「どうぞ・・・」


【意外と、君のようなタイプに、隠れて応援している子が多いんだよ。

私もそう、がんばれ!】



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