第23話:都会より伊豆の方が良い

 やがて2007年4月を迎えて長男の輝一が伊豆長岡駅まで自転車で5分、

そこから電車に乗り20分で三島駅へ出勤した。夕方7時過ぎに家について、

意外に、お客さんが多いのに驚いた。田舎だから、もっと少ないと思ったが、

沼津、三島の周辺は人口も、そこそこ多いんだねと言っていた。

 そして販売ノルマもあって、ライバルメーカーと競い合っているのも東京

とかわらないと笑っていた。ただ東京みたいに値段を下げろとかクレームの

お客さんばかりというのではなく使い方や簡単な設定を聞きに来る中高年が

多いと感じた様で使い方の質問が一番多く女性販売員がメカに詳しい輝一に

、そのお客さんを連れてくるので思ったよりのんびりできない様子だった。


 営業所長の朝礼が目標達成できない営業マンを朝から今後の販売方針を

聞いてみたりと、やり方はどこでも一緒だと話していた。哲男は、こんな仕事

に飽きが来ている輝一の様子が彼の話を聞いていると良くわかった。

 せっかく大学で勉強してきた事が生かせないとぼやいていた。それでも食う

ためには仕方ないと自分に言い聞かせている感じが読み取れた。


 そこで哲男がコミニティセンターでスマートフォンの勉強会でも開いたら

と言うと開いても聞きに来る人がいるかなーと心配していたが、土日の

1時間でもやったらきっと近所の人達も喜ぶと思うぞと言うと、それなら

土日の空いてる時間帯を教えてくれと言い、スケジュール表を見て日曜の

午後3時から4時が空いていたので、一度やってみるかというと輝一が

そうだな今年アイフォンも発売された事だし面白いかも知れないと言い

やってみて生徒が集まらなければ辞めれば良いだけだというと、輝一が、

試しにやってみるかという話になって、日曜の3時から1時間2週間後

から始める事にしたようだ。


 その後、輝一が気が乗った時は土日の早朝、3人で釣りに出かける様に

なり、お陰で立山家の冷凍庫には多く調理済みの魚が入り、魚の塩焼き、

煮付けの日が増えた。多少眠いが、気分転換に釣りは最高だねと輝一が

喜んでいた。


 2007年4月15日(日)の午後3時からスマートフォンの使い方

教室を開き、基本的な動作を説明した後、持って来たスマホの具体的に

困っているところや使い方について個々に質疑応答形式で説明したが、

1時間では4人に説明するのがやっとでありニーズが多そうだ。

 1回の講習料が1人1回千円か月間3千円、半年1.5万円の内から

選べるようにした。初回の今日は定員最大40名に対して参加者20人で

、基本手金操作を説明するのが好評であったようだ。翌週の4月22日は

参加者が30人に増えて同じ様に基本操作のを説明して質疑応答は先着順

の受付で処理していき要領が良くなり6人の質問に答えられたが質問は

残り25問あり時間がかかりそうであった。


 風呂から上がって来た輝一に哲男が一度、土曜日の休日にでも沼津港

から高速船ホワイトマリンで戸田港か土肥港へ船の旅をしてみないかと

誘った。輝一がいいねと言い。5月12日(土)空いてるから行こうと

答えた。それを聞いていた奥さんの泉さんも私も連れて行ってと言うので

3人で出かける事にした。


 5月25日、朝10時に沼津港に行き車を駐車場に置き、沼津から土肥

まで往復で4500円であり所要時間は50分、10時20分発の

土肥港行きの高速船に乗った。当日は晴れで良い天気、遠くには雪を

かぶった富士山が見え、船のすぐ脇に白波が立ち何とも気持ちの良い

潮風に頬をなでられて、とても気持ちが良かった。少しして船内の座席

に着くと心地よい振動で、すぐ眠りについて、もうすぐ土肥港につき

ますとの案内で哲男は目を覚ますと、2人がいない、ずっとデッキで

海の景色を眺めていたようだ。


 10時50分に土肥港について昼食を予約していた富士屋ホテル

の送迎バスが来ており送ってもらい昼食をいただき新鮮な刺身と魚料理

をいただいて、温泉につかり午後2時にホテルを出て、土肥港から

沼津港に3時過ぎに到着して車で4時前に伊豆長岡の自宅に戻った。

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