第2話:投資研究会に入会して
その他、木下悦郎と佐藤和夫はチャート分析を得意として内藤三郎はPER、
PBR、ROE、営業利益率を見ていると言い、その表を作ろうと話し、ケント紙
を買ってきて、表を作り、銘柄名を書いてPER、PBR、ROE、営業利益率、
EPS、BPSの5年変化に注目していた。
PER(株価収益率)=株価/1株あたり利益(EPS)
PBR=(株価純資産倍率)=株価/1株あたり純資産(BPS)
ROE=(自己資本利益率)=当期純利益/自己資本
営業利益率=営業利益/売上、純利益率=純利益/売上
などの計算式を全て数学の得意な山田建男に数字を読み上げで計算させケント紙
の表に、その数字を入れていく作業を毎日2時間近く、行っていた。
投資研究会と入会した立山哲男、内藤克美、木村泉、加橋小夜子の1年生3人
は、この表の作成をするのが仕事であった。しかし、立山も、他の3人も単純作業
で面白くなく四季報をみて、その企業の仕事や利益率、将来性を議論する方
が面白く立山はソニーが好きで内藤克美はトヨタ自動車が好きで木村泉は商社株、
加橋小夜子は商船株が好きであった。立山は四季報や有価証券報告書を見るのが
好きで数字の動きから、将来性を考えるという作業が気に入った。
やがて立山哲男、内藤克美、木村泉、加橋小夜子も大学4年になり財務健全性
は利益剰余金が多く有利子負債が少ない企業。収益性の良い企業はROEの高い
企業。営業利益、純利益率が高い企業は高収益企業と言う事を理解した。
内藤克美、木村泉、加橋小夜子の3人は親が商売をしていたりして裕福であり
立山とは真逆だった。しかし立山は大学の卒業間近になった頃は株で財産を作る
と真剣に考える様になり、その話も他の3人に話すと、そーしたいよねと言い、
いつの間にか株投資で儲けようという話になっていき、1976年1月に各個人の
資産、100万円を持ち寄って400万円で投資を開始する事を決め、もし資金が
半分になったら、その時点で投資を辞めようと言う事でで合計した400万円を
立山哲男の野村証券口座に預けて、投資開始することで全員納得した。もちろん
半減した場合は残金を出資比率で等分して分配する事で了解した。
実際に売買をするのは立山の係で早速1976年1月8日にトヨタ株を
263円で1万株263万円で購入し残金が137万円となった。
その後1976年3月に卒業して内藤克美、木村泉、加橋小夜子は、
それぞれ就職活動を積極的にして、やがて、社会人となっていった。
立山も両親に友人達と商売を始めると言って詳細を説明せずに小さなアパートを
借りて投資する銘柄を考える日々が続いた。そのうち近くの食品工場の夜勤の
仕事を夕方5時に出かけて夜12時過ぎには自宅に帰る生活を続けた。
やがて夏になり秋が過ぎ寒くなり始めた頃にトヨタ株が上昇して来て1976年
12月26日に野村證券に行って578万円で売却を指示して売れた。
初めての利益が240万円と3人にすると報告すると大喜びで立山の仕事ぶりに
感謝した。
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