6.報告

京都であなたが返事の

ことばを打ち込むあいだ


わたしは三重でパソコンの

書き込み中のアニメーションを見ていた


わたしが三重で打ち込むあいだ

あなたもそのアニメーションを見ている


声もなく顔もないふたりの距離もない会話

紅葉と黄葉の原理の相違を話すと

あす詩篇となって

アニメーションののちに現れる

あなたにわたしを流し込んだと知って

一日のあなたの断片が

紅葉/黄葉する わたしに三重で

京都のあなたが


色は光の波長で定まり

色づくのは物が波長を好き嫌いするからだ

白はどの光もたべない

黒はどの光もたべつくす

だから黒はそれを熱にかえてあんなに熱いと

いえば

一日のあなたの断片を

瓦は

日光をみんな食べ尽くして熱いだろうのに

まるで平然としているといって

殉教していく聖者をみるような視線がとどく


枯れたわたしの残滓であなたの

感性を鳴らすとき

わたしにも復活が信じられ

あなたがわたしに知識を流し込まれるときのように

わたしもあなたの報告に感性を流し込まれていた

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