塾の講師は同級生
けんざぶろう
プロローグ
始まりは深夜0時を少し回ったあたりだっただろうか。
「りゅうぅぅぅーやぁぁぁーーーーーーーー!!!!」
アパート全体に響き渡るような奇声と共にドアが勢い良く開いた。
ドオオオンン
・・・訂正 ドアが爆発した。 何を言っているの理解できないと思うが俺にも理解不能だ。 だが、気が付いたら煙とドアだったものの破片が空気中へ舞うのだから爆発で間違いない。
そして爆発による煙が晴れると、その奥で鬼神のごとき表情を浮かべているこちらの女性は、おそらく俺の部屋に入るためにドアごと破壊した本人であろう。
髪は黒髪ロング、顔立ちもかなり良いほうなのだが、今現在は眉間にしわを寄せているために外面の清楚な姿は見る影も無い……というかお面で言うところの般若に近いな。
「歯を食いしばれやボケがあぁぁぁぁーーーー」
「えっ?」
瞬間、俺の頬へ何かがめり込んだ。 どうやら顔面に拳が飛んできたらしい、そのまま力任せにぶっ飛ばされる。
「えっ? ちょっ 何!? イキナリ何なんッッ?」
殴られた衝撃で鼻血が出ているものの、ココで言葉を発しないと、この人は殴り続けるため講義を入れる。 あと一応説明、このクレイジーガールは姉である。
「何で殴られたか分かるか?」
「いや分かんねぇーよ!! いきなりすぎるだろ!!」
「私が怒っている理由はコイツだ、ゴミ箱から見つけた」
そう言って姉が目の前に突き出したのは、先日返却されたテスト用紙だった。 その用紙には、見るも無残な点数だけが表記されている。 おそらくアレが姉の怒りに触れたのだろう。
「とりあえずブッ飛ばす前に遺言を聞いておこうか」
ブッ飛ばすと殺されるのはセットなのか。 末恐ろしい姉である。 ……などと、ここで冷静だったならばツッコミを入れていただろうが、そんな余裕はこの時の俺には無かった。
「ちょっと待ってくれ、このテスト受ける4日前に何をしたか覚えてる?」
「あ?」
姉のリアクションを見る限り、案の定忘れてやがる。
「……忘れてるみたいだから言うけど、4日前、最終回のドラマあったでしょ?」
「ああ、あの刑事のヤツでしょ? それが?」
「それが姉さんよほど気に入ったのか俺に初めからから最終話まで連続視聴させただろ?」
「それがどうかしたか? 勉強に支障は無いはずだ」
「いや、アレ何クールあると思ってんの!? その日1日だけでなくテスト前日まで学校から帰宅したらエンドレスで見せられたんだけど」
声を必死に荒げて、どれだけ支障があったかを説明する。 すると姉は腕を組み眉を吊り上げた。
「……なるほど、それでテストに集中できなかったと、そういうわけだな?」
「そうそう、テスト時間とか眠気がピークに達してたし、そんな状態でまともな点数取れるわけがないだろ」
「つまり、私のせいだといいたいんだな」
「まあ、少なからずッッ!!」
肯定の言葉を口にした瞬間に、姉は俺に向かって膝蹴りを食らわしてきた。
「いいたい事はそれで終いか?」
ええええええぇぇッ!!!! コイツまじかよ!!
「いやっ!! ちょっと待ってくれ!! 落ち着いて考えてみて!! 姉さんも悪いだろ!?」
「話を聞いたが全然悪くないだろ? むしろ私のせいにしている竜也の根性が気にくわない」
「マジでッ!?」
話を聞くだけ無駄と言いたげな表情を作ると姉は、俺に馬乗りになり暴力の限りを尽くし。 そして俺は、意識が途切れた。
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