喧嘩師は幽霊に
葉村コト
第0話 プロローグ
さよならだけが人生だ、とそんな悲しいことを言ったやつがいたそうだ。最初に聞いたときは悲観的な人もいるものだな、と思ったが、残念ながら別れのない人生なんてない。誰かと出会えば、いつかは別れ。別れれば、次の出会いがある。出会いと別れを繰り返しながら、俺たちは時を過ごしていく。
俺はこの三か月で、いくつかの出会いをした。全てがいい出会いというわけではなかった。というか、ほとんどがいい出会いではなかった。面倒なことに巻き込まれたし、変なやつにも会ったし、ろくなものではなかった。が、今の俺はそれなりに幸せだ。その出会いがあったからこそ、今がある。
しかし、いつかは別れのときが来る。それがいつなのか、誰も教えてはくれない。高校生の俺たちには卒業という別れのビックイベントがあるけれど、それを待たずして唐突に別れの瞬間が訪れるかもしれない。
そしたら俺は、どうするのだろう。別れに嘆き悲しむのか。次の出会いに期待するのか。それとも――
俺たちが出会ったのは、別れを悲しまず、次の出会いに期待もせず、ただ一心に再会を待ち続ける同年代の少年だった。
さよならだけが人生だ――別れと出会いを繰り返して、最後に人生と別れるのだ。
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