第5話 誕生そして友情 root本当のクラスメイト達
新世界。それは世の中の法則を変える為に現状の世界を変えたもの。では無く、現状には無い一から新しい世の中を作ろうとして誕生するものだ。
前回に俺は苺を新世界から目を覚ましてやると大見得を切った。
だが、すまん。撤回させてくれ。
「零矢大好き〜。」
「ぐぁー!頼むからくっつくな!」
「ねぇねぇ。君って私の恋人?なんでしょ。」
「恋人の意味知らないだろ。てか誰だそんなこと言ったやつ。」
「柳原さん。」
柳原ヒョウ。見た目は絵に描いたようなイケメン。顔は整っていて、小さい頃に頬に大きな傷を負ったことが逆に格好良さを引き立てている。
スタイルは良く。胸筋も半端ない。
髪型は、銀髪の髪を短く切っていて横をツーブロックにしている。そして左の横髪を三つ編みにしていて、前髪を流している。マジイケメン。
「悪いな。でも、お前ら恋人みたいだと誰しもが思っていた筈だぞ?」
(このイケメンどうしてくれよう?)
「そうだとしても、冗談きついぜ。」
「はは。おっ。そろそろペア決めが始まるぞ。」
そう。これから始まる五時間目は特殊な時間なのだ。うちのクラスは男女合わせて二十九人。小説家志望(現役の小説家も含む)十五人とイラストレーター十四人と約半々に分かれている。
今日はこの中から今後のペアを作る時間なのだ。
しかし、うちのクラスのイラストレーターの実力は把握した。何故なら、この前作ったサークルの部員が全員クラスの人だからな。
「はい!実はもうペアは決まっています!申し訳無いですが先生が勝手に決めました。」
『えー。』
「ほら。嫌そうな顔しない。先生が選んだんだから相性は完璧。サークルで実力も把握きましたしね。」
先生は皆んなに紙を配布した。
「では、皆さん。紙を表にして下さい。」
ペラっ…
紙を見た瞬間、皆が納得していた。
ただ俺を除いてなぁぁぁ!!
「はい先生!発言宜しいですか!」
痛いくらい元気良く手を伸ばした。
「はいっ!ハバちんどうぞ!!」
「なんで僕のペア苺なんですか?!
苺は他クラスですし作家ですよ!?」
「説明しよう!苺さんは我がクラスメイトになりました!」
「はいぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!」
「うん。苺は今日から零矢たちのクラスメイトだよ!」
「では、何故イラストレーターに?」
「それは、本人の希望です。」
「おい。苺。お前は絵が描けるのか?しかも、アニメチックな絵を!!」
サラサラ〜。
「はいっ。どう?」
上手かった。正直クラス一位だ。
こうなってしまうとこいつを新世界から目を覚ましてやることが出来ない。
こいつが目を覚ましたら絶対にペアを組んでくれない。
そうすると、今後高校生活でのイラストレーターがいなくなってしまう。
「でも。それは私情なんだよなー。」
「っっ。私は、零矢と作品を作るのが楽しみです。でも、私情があって、私と組むのが嫌ならっ…ぐすっ。ふえーん。」
「えっ?ちっ違う違う!!そうじゃ…。すいません。ほんとっすんません!!」
「泣かした。」「ひどい零矢くん。」
「俺…零矢に泣かされたい〜…」
冷ややかな罵声で俺を口撃してくるクラスメイト。これは目を覚まさせた後もイラストレーターやってもらうしかないな。
「分かった。でも、俺とやるなら付いて来いよ!置いてかれるなよ!」
「!!はいっ!」
苺の顔は太陽の様に顔が輝いていた。
「んで!誰だよ最後の!キモいわ!」
「はいっ!朝のおはようから夜の
こんばんはまで元気な伊澤です!」
(またお前かよ。ホモだなー。)
ペアが決まった。しかし事件はまた起きた。
「サークルの部長はとりあえずヒョウ君に任せて良いですか?」
「いいですよ。無論やる気でした。」
かっこいい〜。あいつ絶対モテるな。
そんなことを思っていると後ろから、
「ヒョウ君カッコいいよね。」
「わかる。優等生って感じ?だよね。」
流石。入学三日目で女を落としたな。まだいることも正直確信しても良いな。
「では、次に副部長二人なんだけど塔堂さんとハバちんでいいかな?」
「…。」
異論は認められない。そう告げられた気がした。
放課後になった。苺は山下さんに現状を伝えに行った。だが、問題は今からヒョウは学園トップのクラスに戦いを申し込む事になっている。
「本当にヒョウ一人で大丈夫か?」
「負けないよ。どんな相手でも臆していたら勝てないからな。」
「気をつけろよ。俺も一応監視しておく。」
「あぁ。」
そう言ってヒョウは走り去っていった。
「気をつけろよヒョウ。」
「遅いわよ。」
「すまない。今日は話し合いに来てくれて感謝するよ。俺は柳原ヒョウ。」
「私は、久方紫陽花。以後お見知り置きを。」
…。久方紫陽花。こいつが。噂どうりなら厄介な人が来たな。
久方の噂。久方紫陽花は、通称顔無しと呼ばれている。彼女はどんな時だろうとポーカーフェイスを崩さない事で有名。更には想像力でこちらの感情まで読み取れるという化け物。
「まずは、話をするにあたって君たちの考えを知りたい。ストレートにいうと、なぜ塔堂苺の記憶を消した?」
その時、久方紫陽花は違う方角を見ていた。
(まさか!監視に気づいたか!)
「監視されてますね。私の目を欺くなんて不可能なことを。まぁいいです。見逃しましょう。」
(何を考えている?俺も駆け引きは得意領分なのだがこいつは異次元だ。)
「安心して下さい。貴方に危害は加えません。今日は話合いですよ。」
「分かった。ここは貴方を信用しよう。」
「では、話し合いの前にゲストを紹介します。どうぞ。」
「ゲスト?だとっ。」
「あのドアを良く見ていて下さい。」
ガチャ…キィーバタン。
「あっ。貴方は!?何故ここに!」
一方の零矢は。
「くそっ。急に人が入って来て見えなくなったぞ。」
監視出来てなかった。
話合いは終わったのか。ヒョウは零矢の方へ急いで駆け寄って来た。
「勝負だ。日程も場所も決まった。」
「流石だな。俺はロクに監視出来なかったよ。すまんありがとう。」
感謝の言葉をかけた。
だがヒョウは嬉しそうではない。
「更に。一つ分かったことがある。」
「ん?なんだ?」
「先生が裏切っていた。」
頭が真っ白になった。
「嘘だろ。」
「いや。本当だ。俺も驚いた。」
そして今の時間に起きた話の経緯を説明した。
「クラスの皆んなの何人かもグルという情報も渡して来た。完全に錯乱されるのを狙っている。」
「錯乱させて何する気なんだ。」
「俺の予想だ。おそらく退学目的だろう。」
「完全に後手に回ったな。」
「あぁ。でも、まずやることは決まった。グルを探すことだ。」
「そうだな。一番簡単だろう。」
その時だった。
「話は聞いたぜ。お二人さん。」
何人かのクラスメイトが立っていた。
「お前ら…」
「グルを捕らえるんだろ。だったら俺らにも協力させろ。」
「でもこれは危険過ぎる。正直賭けに等し…!」
得意げに言うクラスメイト達。その手にはグルのクラスメイト達五人を捕らえていた。
「お前ら…!」
「真のクラスメイトの皆んなは、葉羽零矢の作品のファンなんだぞ。皆んな知ってたぞ。お前があの葉羽零矢って
ことを。」
「おっ、お前ら…本当に最高だっ!!」
俺は、最高の仲間を持った。小学生の頃とは違う。本当の仲間に出会えた。
「よしっ。絶対学校の皆んなに俺たち全員の作品を認めさせてやるぞ!」
『オオオオオオオオオオォォォォォォ!!!!!!!』
目に見せてやろう。友情の証を。
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