恋と勘違いの色

真面軽 永遠

第1話 ある女の子へのゼロ root零矢

 俺は葉羽零矢!つい最近高校入学前の春休みにライトノベル作家になった自称普通の男だ!

 えっ?

 何でこんなテンションが高いって?男子高校生なら普通でしょ?

 そういうのいいから訳を教えろって?

 それはな!それはな…(沈黙

 実は今日高校の入学式の後で初めて

 担当さんとの打ち合わせに来た俺は、現在ある人物に出会っていた。


 塔堂苺。ロリ巨乳のツンデレ妹系の

 女子高生。かつ、小学六年生でライトノベル作家になった将来有望作家様。

 そんな彼女が俺の幼馴染ということを信じられるか?


 うむ。自称普通の俺は信じられる。

 むしろ、こいつが俺と幼馴染ということを信じていない気がする。

 というか、嫌いというまである。

 そんな俺もこいつの事苦手なんだけどね。


(んっ?何これスタートの前提から間違ってね?)


「間違ってないわ。というか何故あん たがここにいるのよ。」

「ん〜。久々にお声をかけて下さりありがとうございます〜。実はつい先日ライトノベル作家になりまして〜。」

「その喋り方は何よ?キモい通り越して嫌悪感を覚えるんだけど。」

「もともとだろ。」

「勝手に決めんな!それより質問に答えてくれる!!?」

「ハイハイ。さっき言った通りこの前

 作家になることが出来て、今初めての打ち合わせを担当さんと終えたとこなんですよ。これでよこざんすか?」

「ふーん。まっ!あんたなんて即打ち切りされるかもね?w」

「そっか。まぁいいや。この先、一生(強調)話しかけんなよー。」

「なっ。あんたこそ一生私に近寄らないでよね!この馬鹿っ!」

「了解。じゃあな。」

 そう言い残し俺はこの場を颯爽と去っていた。こんな奴が俺のこと嫌っていない訳が無いよな。

「まぁいいや。女子に嫌われているのは昔からだからな。人生ポジティブにいこーZE☆!」

 今日の俺テンションおかしいかも。

 きっと疲れているんだろうな。

 そんなこんなで俺の勘違いが始まった。


 ー翌朝ー

 ピンポーン!ピンポーン…ピンポーン!!ズキャっ!ゴドン!ドギャ!

 唐突に恐怖を生み出すピンポンラッシュと玄関の扉を叩く爆音で俺は目を覚ました。

(はっ?ヤバい。ヤバい。何の音!誰か…ってそういえば、今日に限って親も妹も姉貴もいないんだった!)

 恐る恐るインターホンのカメラで外を確認すると…

「さっさとドアを開けてくれる?私が風邪ひいたらどう責任とるのよ?」

 ジト目で不快そうにこちらを向く苺が仁王立ちしていた。

「…。(昨日の事忘れてんのか?)

 待っていろ。あと人に顔を合わせる時は笑顔を作れ。」

 インターホンを切って、急いで玄関の扉を開けると苺は開口一番にまさかの発言をしてきた。それは、

「一緒に学校いこ♡お兄ちゃん☆」

 と急に手のひらを返しきたのだ。

「はい?」

 こいつのやりたいことが分かる方々助けて下さい。



 私立潤創高等学校。私たちが通う高校。一見普通の高校とは変わらないけど一つだけ特殊な校風があります。

 ここの学校は生徒全員がクリエイターを目指していて、コンテストの結果によってクラスの順位制が設けられていることです。

 えっ?そんなのどうでもいいから本編の話を進めろですって?生意気ね。

 でも私の話には続きがあってね…

「おーい。話を聞いてくれますか?勝手に我の世界に入らないで下さい。」

「えっ?誰の声?まさかこれは異世界転生の前触れっ!」

「たわけ。王道な転生仕様をボケにするな。もっとマシなボケをしろ。」

「んっ!作家を諦めるですって!この我儘な飽き性め!そんなんだからキモいのよ!」

「いやいや話噛み合ってないって。その前に、作家二日で辞める奴がこの世にいるか。そういった伝説は作りたくないな。てか、辞めたらお前喜ぶだろ。」

「何当たり前な事言ってるの?」

「おっ?そうか。じゃあやーめよ。」

「は?!馬鹿じゃないの?ダメに決まってるでしょ!!」

「なんだよ。面倒くさい奴だな…というか妄想で話を進めてる苺の方がキモいっつーの。」

「なっ!キモくないし!普通だしっ!女の子にそういう事言うから入試が底辺で合格なのよっ!」

「関係ないだろっ!お前に俺の何が分かる!いずれお前のことを抜いてやるよ!それまで股でも洗って待っているんだな!」

 我ながら気持ちの悪いセリフだがこの女子になんて興味は無い!嫌われるのもむしろカモン!どうだ!何も言えないだろ!!

「えっ…。そっそんなこと言わないでよ。はっ…恥ずかしいよぉ。」


 あれ意外な反応だな。もっとツンケンして反論すると思ったんだが…。ちょっと…いや、かなり気まずい。なんか謝ろう。素直にハラスメント。

「ス・マ・ン。ちょっと作家脳が働いてしまった。普通にセクハラしましたわ。」

 しかし、素直に謝罪した俺の誠意とは裏腹に苺からキックが飛んできた。

「馬鹿なのあんた?今の私は作品に出てくるヒロインの取材してたの。そんなのも分からないから底辺なのよ。」


 俺は温厚だ。基本的には怒らない。むしろ怒られる側だ。例えるなら裸の状態の身体中に練乳をかけられても怒ることはないだろう。でも、今回は限界だ。


「お前さ?こっちは真面目に謝ってんだろ。そんなんだからお前を筆頭とする女が嫌いなんだよ!憶えてるか!お前の余計な一言が俺の小学校の人生を壊したのを!」

「そっそれは。でも今は作家やる為に…」

「確かに意識は大切だよ!でもそれで人に傷をつけるのは違うだろ!全くお前っていう奴は!」

「ふっふざけないで!私は零と違って半端な気持ちじゃないの!」

 苺はそのまま走り去っていた。泣きながら…。

「ちっ。初日からこれかよ。つーか俺たち同じ学校なんて言ってないのになんで家に来たんだよ?こえーな。」

 そんな言葉を呟きながら俺も苺とは違う道で学校に向かった。

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