それから

 ファンファーレが鳴り響くなか、ガージェルつきの衛兵の一人が大声でコーエンを迎えいれる。

「領主様ご入城ー!」


 南大門から城へ向かう。コーエンと私が先頭を行き、五人衆がそれに続く。後列には、伯爵家が列を作っている。それに各家族の従者がタンスなどの荷物を運んでいるのでかなり長い行列になっている。


 ドラゴン退治をした英雄、コーエン見たさに南大門から大衆が詰めかけている。拍手の中、皆に迎えいれられる。うっすらうらぶれていた大通りや商店街も活気をとりもどし、私は嬉しくなる。隊列を組んでいく仲間たちは、皆晴れがましい顔をしている。


 沿道には、老若男女が出揃い、自分の前を通過するのをいまかいまかと待っている。子供たちが大衆の後ろを走って追いかけて手を振ってくるので私も手を振りかえす。


 気になっていた代官所の騎士たちも、皆恭順の意思を示してきた。これで後顧の憂いもなくなった。


 やがて城の門をくぐり抜けると、一足先に入城していた伯爵婦人達と五人衆の家族との再会だ。これにて今日からは一緒にここカンパラで住むことになる。皆の笑顔がまぶしい。


(さてと……今晩はコーエン様が確実に私に迫ってくるわ。今日こそ処女を捨てる日になると思うの。私も覚悟を決めなくっちゃね)


 どこからか花束が投げ入れられる。コーエンはそれを掴みとり城塞を登りまた民衆の前に出て、笑顔で大きく手を振るのであった。



 完



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白い騎士団と鋼鉄の処女 村岡真介 @gacelous

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