ドイツ片田舎からのゆるい生活エッセイ

伽羅かおる

第1話 うちの村はこんな村

ドイツに住んで約20年。

今住んでいる村は人口約800人、最初に住んだ村は350人というお店は一件もない村での生活が私の知っているドイツでの生活。


ドイツの街に住んでいる友人からは、よくそんな村に住めるものだ、と言われることがあるのだけれど、村生活は本当に最高で、私は街に住んでいる人達の方がお気の毒と思っているのが正直なところ。

広々とした空間の家(土地代は安いので大きめの家を買うことができる)、そこから一歩出れば住宅地の裏には草原が広がり、空気はきれいで、自然は豊か、歩いて10分もすれば森に着く。


村人たちは先祖の代からもう500年くらいここに住んでいるんではないのかしら、というようなコンサバなドイツ人が多く、朝には教会の鐘もなり、なんて平和なんだろう、と日々の目覚めのときから感じる村の生活。


そう、難民・移民の多いドイツでは街に多くの移民が住んでいるため、大都市へ行くと

「ここドイツ? でも、トルコの店ばかりだけど…」

「なんで浅黒いするどい目つきの男の人ばかり、女の人は頭に布かぶってるし…?」

というようにドイツの大都市へ行くとたくさん会うイスラム教徒の人達も、この村ではほとんど会うこともない。


敬虔なカトリック信者が多く住むこの村は、1年の計は教会に始まり、という感じで、1年間の行事は全て教会関係のことばかり。

来週には1年の中でも最大級のイベント、カーニバルも始まる。


意外に知られていないかもしれないけれど、カーニバルこそ教会色の強いお祭りなのだ。

日本語では゛謝肉祭゛、ドイツ語では゛Karneval゛だけれど、もとはイタリア語で゛Carnevale゛(ラテン語 carnem levareから)で ゛Carne ゛が肉という意味であり、゛Val゛が断つという意味で、つまり゛肉断ち゛という意味で、カーニバルにてさんざん飲み食いして楽しんだ後、肉無しの食生活が始まる断食前夜のお祭りなのである。この一応、断食らしい慎ましい生活はイースターまで続く。


しかし実際に肉断ちをしていたのはもう大昔のことで、最近の人ではよほど敬虔な信者しかそんなことはしないだろう。

それでもお酒断ち、チョコレート断ちなどをしている人は見たことがある。


うちの長男も16歳の時お酒断ちしてたっけ。

16歳でお酒断ち? どうか不良と思わないで欲しい、ドイツでは16歳でビールを飲むことは法律的に許されているのだ。


なかなか敬虔な、さすが村育ちのうちの長男なのである。








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