十三丁目:最終決戦の幕開け

「どうして戦場ここにあんたがいるのよ! 締め切りがヤバいんじゃないの!?」 

 

「だから言ったじゃろう、逃げてきたと」

 

 私が言い合いをしているこの人は、『三ツ石神』こと三石みついしサクラ。

 彼女は『三井みついさく』と言うペンネームで活動している。

 

 ラノベから漫画まで、幅広いジャンルで活躍するハイスペック作家。

 アニメ化した作品は数知れず、未だに名作を生み続けている。

 

 そして私が好きな、一番大好きな人。

 大好きなキャラの生みの親。

 

「先程も言ったが、デッドラインを超えそうなんじゃ。担当編集が鬼の形相になっとるんじゃよ」

 

「だったら、なおさら帰りなさいよ! 逃げてきちゃダメでしょう」

 

 鬼よりも怖いとか言ってたし。

 

「だからこそ、じゃよ。現実逃避じゃ現実逃避」

 

 何が『だからこそ』なのかはイマイチ分からないけど、いま私が言うべきことはただ一つ。

 

「いいから早く帰りなさい」

 

 いちファンとして、推し作品が休載になるなんてことは嫌。

 絶対に避けたい事態なの。

 

 分かるでしょう?

 

 楽しみにしていた漫画が休載になったときの悲しさを。

 胸にぽっかりと穴が開いたような喪失感を。

 そして、好きなキャラに会えない寂しさを。

 

 そんな気分、味わいたくはないわ。

 

 だからこそ言う。

 早く仕事に戻れと。

 

「本当に早く帰って。みんな、あなたの作品を待っているのよ」

 

「少しくらいいいじゃろう。頼むっ、あのデカぶつを倒したら帰るから」

 

「ダメよ。帰って」

 

「嫌じゃ、嫌じゃあ! もう描きとうない!」

 

「そんなこと言わないで頂戴。私も含め、楽しみにしている人はたくさんいるんだから」

 

「でも嫌じゃあ! もう疲れたぁ!」

 

「なっ、まだ言うか! ほんとガキね!」

 

「儂は幼女じゃからな。当たり前じゃ」

 

 ここに来てまだ幼女主張をする赤メガネロリコン神。

 

「いい加減、現実に目を向けろっつーの。そろそろイタいわよ」

 

「イタいって、どういう意味じゃっ!」

 

 三石サクラと言い合いをすること数分。

 呆けている宮守みやもり姉妹と影切かげきりあきをほっぽって、私たちは倒れた敵の目の前で論争を繰り広げていた。

 

 帰れ、嫌だの繰り返し。

 ファンと作家のぶつかり合い。

 

(ほんと呑気なことだよ。折角、敵の頭を地に着けたってのにさ。見ろ、もう回復したらしいぞ)

 

 悪魔に言われて瓦礫の山を見る。

 すると確かに巨大鬼は回復していた。

 身体に付いた瓦礫を落としながら、もそもそと立ち上がり始めている。

 

「やはり儂の出番が来たようじゃな。目には目を、デカぶつにはデカぶつじゃ」

 

 目を輝かせ、嬉しそうに言う。

 敵が回復したってのに。

 

 そして、私が制止する前に岩ゴーレムに走っていった。

 鼻歌を歌い、途中でスキップをしながら。

 

 あっ、逃げた。

 逃げられた!

 てか、どんだけ浮かれてんのよ!

 

 ゴーレムが差し出した手に飛び乗り、肩まで移動。

 肩の上からゴーレムに指示を出し、巨大鬼に向かっていってしまった。

 

「なんなんだ、アレは……」

 

 放心していた宮守日寺    ひでりが聞いてきた。

 やっと元に戻ったらしい。

 

「えっと、アレはね……」

 

 今度はどう説明すればいいのかしら。

 三石サクラはともかく、岩ゴーレムの方は難しいわね。

 

 どうしましょうか……。

 

「これがフラグ回収って奴か! 巨大ロボも来るって言ったあたしの嘘がフラグになってたんだろう? 正確には巨大ロボじゃなくて、デッかいゴーレムだけど……。いやぁ~、建ててみるもんだなフラグ! くだらない嘘もついてみるもんだっ!」

 

 私が説明に困っている内に、日寺は勝手に理解してくれた。

 

 あきのことと言い、ゴーレムのことと言い、この人は……。

 こちらにしちゃ都合がいいのだけれど。

 

 でも、それでいいの!?

 フラグで片づけて、本当にいいの!?

 

「俺はあんな奴に負けたのか……」

 

「……感動、感激、感無量」

 

 こちらはこちらで泣いていた。

 悔し涙を流すあきと、ゴーレムを観て感極まったしずく

 

「ちくしょーーっっ! やけ酒もできねぇ!」

 

「……やったー。もう異世界転生する必要ない」

 

 右では日寺が興奮してはしゃいでるし、左ではあきが泣いてるし、雫は変なこと言ってるし……カオスだ。

 

 目茶苦茶すぎる!

 いつになったら、私のコスモスは訪れてくれるの?

 

 一方、立ち上がった巨大鬼はサクラたちの進撃を妨害するべく、周りの建物の破壊を開始した。

 ラリアットの要領で警察署の上半分を崩し、コンクリートの塊を降らせてくる。

 

「へっ、愚か者めが」

 

 地面に亀裂を走らせながら、ゴーレムが跳んだ。

 空中の塊めがけて飛んでいく。

 

 よくもまあ、あんなに跳躍できるわね。

 

 降り注ぐコンクリートを足場に、もう一段回ジャンプ。

 右腕に勢いをつけ、鬼の顔めがけてパンチを——とその前に、巨大鬼の拳がゴーレムを襲う。

 

「なにっ!」

 

 ゴーレムの全身よりも二回り程大きい拳。

 ケタ違いの差がある。

 スピードがあろうがなかろうが、威力が凄まじいことには変わりない。

 

 ゴーレムが腕を伸ばしきる前に、拳同士が衝突した。

 その衝撃で空中に舞っていた砂塵とコンクリートの塊が飛び散る。

 

 経験上、私は知っている。

 こういう場合は腕が破壊されるか、自分自身が吹っ飛ばされるかのどちらかだと。

 

 今回、ゴーレムは空中にいる。

 踏ん張る足場がないのでは、考えるもなく後者だろう。

 

 案の定、ゴーレムは吹き飛ばされた。

 吹き飛ばされたと言うより、叩き落された。

 

 えげつない速さで地面に落ちてくる。

 

「あちゃ~、失敗失敗」

 

 ゴーレムの右肩にいた三石サクラはと言うと、既に私の隣にいた。

 

「あっぶね~。テレポーテーションがなかったら死んでたね、絶対。はぁ~、危ない危ない。これが若さ故の過ちじゃな。認めとうない気持ちも分かるわい」

 

 と、地面に叩きつけられるゴーレムを見ながら呟いた。

 

「えっ? なんで? さっきまであっちにいたのに」

 

「……(!)」

 

 驚く宮守姉妹。

 ゴーレムが落下した地点とサクラを交互に見て不思議がっている。

 

「イリュージョンじゃ、イリュージョン!」

 

 そんなんで、誤魔化せるわけが……

 

「おぉ! すっげぇーー!」

 

「……(パチパチ)」

 

 あったぁ!

 あんたら姉妹、どうなってんのよ!

 

 ……もういいわ、好きにしなさい。

 

「どうじゃ、凄いじゃろ。なんと言っても、儂は桐花こやつの師匠じゃからな」

 

 えっへんと胸を張るサクラ。

 ついでに私にウインクをしてきた。

 

 話を合わせろ、ということかしら?

 

「儂は三石サクラじゃ。よろしく頼む。お主らは知っておるぞ。日寺と雫じゃろう? 小娘から聞いておる」

 

 私の肩をポンポンと叩き、師匠面をしてきた。

 

 チッ、なんかムカつく。

 それに師匠なら小娘じゃなくて、桐花って呼びなさいよね。

 

 私は精一杯苦笑いを作る。

 

(苦笑いじゃなくて、せめて笑顔を作りなよ)

 

(だって、笑い方忘れたんだもん)

 

(一番忘れちゃいけないだろっ!)

 

 そもそも、仮面あんたを着けてるんじゃ、私の表情なんて分からないでしょう。

 

「よろしくっす!」

 

「……(ペコリ)」

 

 と宮守姉妹は挨拶をした。

 友達の親に挨拶をする感じに。

 

 ……親か。

 三石サクラが母親……ね。

 

 うん、絶対ないわ。

 

「今から自己紹介パートに移行したいところじゃが、まずはあやつを倒さねばの」

 

 見ると、巨大鬼は私たちの元に向かってきていた。

 ゴーレムから標的を私たちに変えたらしい。

 

 歩く度に、地面が揺れ衝撃が走る。

 衝撃でガラスを割りながら近づいてきた。

 

「ほれっ、いつまで寝ておる。起きろ」

 

 サクラはパチンッと指を鳴らし、地面にめり込んだゴーレムを回復させていく。

 空中に浮いた胴体に他のパーツがくっつき、あっという間に元に戻った。

 

 もしかして、岩ゴーレムって最強なんじゃない?

 死んでも生き返るし。

 壊れてもすぐに直るし。

 

「それで、じゃ。どう戦うかな」

 

 顎に右手を当て、左手で団扇うちわを扇ぎながら考えるサクラ。

 

 確かにどう戦うのが正解なのだろう。

 ゴーレムを使うにしても、肉弾戦になって吹っ飛ばされるのがオチだし。

 宮守姉妹じゃ歯が立たないし。

 私の武器じゃこっちが折れちゃうし。

 

 私が思いつく方法は一つだけ。

 最後の切り札で最終奥義。

 

 ほんとは嫌だけど。

 リスクは避けたいのだけれど。

 やっぱり、私が悪魔と極限まで同化するしか……。

 

「いや、その必要はないぞ。まあ見ておれ、小娘よ。儂とて考えはある。相手がデカいならこっちもデカくするのみじゃ」

 

 そう言って、サクラはニヤリと笑った。

 まるで悪代官のような笑顔である。

 

 嫌な予感しかしないんですけど……。

 

「儂のチート能力ナンバー三十二、階級変更クラスチェンジッ! グレード・オブ・怒烈火布鋭ドレッドノート!」 

 

 サクラが叫ぶ。

 すると、岩ゴーレムの足元に魔法陣が展開された。

 今回のはいつもより規模が大きい。

 

 何が起こるんだろう?

 クラスチェンジって何?

 

 そういえば、神様の癖に横文字ばっかり使うよなコイツ。

 

 これは神様に対する私の偏見なのか、三ツ石神が世俗に染まり過ぎなのか……。

 作家やってる時点で、世俗に染まりに染まっているのは明白なのだけれど。

 

 そんなことを考えながら見ていると、岩が——否——瓦礫が私たちの方に飛んできた。

 磁石に引き付けられる釘のように、一ヶ所めがけて飛んでいく。

 

 えっ?

 瓦礫が……飛んできた!?

 

 どうやら目標は岩ゴーレムのようで、無数の瓦礫は岩ゴーレムにくっついていった。

 人型は崩さずにサイズだけが大きくなっていく。

 

 脚を、腕を、胴体を、その全てを覆いつくしてもなお、増大は止まらない。

 どんどん大きくなる。

 

「す、すげえ……」

 

 日寺が岩ゴーレムを見上げながら呟いた。

 

「団子になってない!」

 

「いやいやいや、いま驚くべきところはそこじゃないでしょう!」

 

「そうか? 建築学的には素晴らしいと思うのだが」

 

「確かにそうだけれど、まずは大きさに驚きなさいよ」

 

 瓦礫(主に県庁と警察署の)がなくなる頃には、ゴーレムの大きさは巨大鬼と同じになっていた。

 

 うわぁ、えげつないくらい成長したなあ。

 十倍? 

 もっと、それ以上ね。

 感覚的には着ぐるみを着ている感じなのかな。

 

 中に本体となる岩ゴーレムが入って、巨大な身体を動かす。

 まるで『巨大ロボット』のパイロットのように。

 

 日寺さんのフラグ回収も捨てたもんじゃないわね。

 本人は満足してたみたいだけど、それ以上が起こるなんて。

 

「……凄いけど、でも」

 

「どうしたの? 雫さん」

 

「……この大きさじゃ、歩けない」

 

「ん? どう言うこと?」

 

「……物理的に不可能ってこと。壊れるか、コケるのがオチ」

 

 その後の解説を簡単にまとめると、重力下ではある程度の大きさ以上のロボは歩けないらしい。

 だから、ロボアニメの舞台は無重力である宇宙なんだとか。

 

「それなら大丈夫じゃよ。わしの力でなんとでもなる」

 

 私たちの会話を聞いていたサクラが自慢げにそう言った。

 神には物理法則も通用しないらしい。

 

 もしかしなくても、一番のチートキャラは三石サクラでしょうね。

 絶対に敵に回したくないわ。

 

 そんな意味でも、早く『羅刹』を狩らないと。

 神になられたら厄介だものね。

 

 そんなこんなで岩ゴーレムが合体? 変身? (どっちでもいっか)を終えたのを見ると、サクラは満足げな様子で

 

「それじゃあ、『岩っコロ』の安全装置セーフティを解除するかのう」

 

 と言い、これまた悪人面になった。

 爆弾の起動装置を押す前のような、取り返しのつかないことをする前のような悪い顔である。

 

 てか、『岩ゴーレム』じゃなくて『岩っコロ』って名前あったのね。

 それより、安全装置を解除するですって!?

 

「ちょっと待って。安全装置を解除しちゃ、まずいんじゃないの?」

 

「そんなことはない。目標の殲滅が可能になったと言うだけじゃ」

 

「?」

 

「奴はあくまでも守護者じゃからな。敵とて瀕死にはしても殺しはできん」

 

「でも、私のとき絶対に殺しにきてたわよね!?」

 

「あれはな、メンテナンス後で安全装置を付け忘れておったのじゃ。すまんすまん」

 

「すまんで済むなら警察は要らないわよっ!」

 

 恐ろしい事実を知った所で雑談は終了。

 巨大鬼は岩っコロの目前まで迫っていた。

 

 真剣にやっていくことにしましょう。

 

「それでは始める。岩っコロ、攻撃開始じゃ!」

 

 サクラの合図を受け、岩ゴーレムは動き出した。

 一歩前進して巨大鬼との間合いを詰め、右フックを繰り出す。

 同時に鬼も右フックを繰り出し、両者相打ち。

 

 大きさが同じになったいま、勝負を決めるのは硬さとパワーだ。

 超弩級になったゴーレムはパワー充分、しかし脆い。

 

 なぜなら、鬼がいとも簡単に破壊した建物(県庁と警察署)で形成されているから。

 しかもきちんと接着されているわけでもない。

 崩れるのは目に見えていた。

 

 ボロボロとゴーレムの身体が落ちる。

 右腕の完全崩壊は免れたものの、頭は半分以上吹き飛んでいた。

 

 これじゃ、勝てない。

 傷一つ付けられない。

 

「ねえ、全然ダメじゃない。効いてないどころか自分の攻撃で自分が壊れてるし」

 

「まあ黙って見ておれ。これからじゃよ、これから」

 

 相打ちの状態から、岩ゴーレムが鬼の腹に前蹴りを繰り出した。

 

 これは攻撃じゃない。

 鬼の体勢を崩し、距離をとる為の蹴り。

 蹴りと言うよりは、足で押したと言うのが正しいだろう。

 

 鬼が後方へよろめく。

 

 それを見て、一気にダッシュ。

 インターバルを利用して加速し、大きく跳躍した。

 

 あの巨体が跳ねると迫力があるわね。

 しかも、ただジャンプしたんじゃないし。

 

 そう。

 岩ゴーレムはただ上に飛んだんじゃない。

 途中で身体をひねり、空中で仰向けになった。

 巨大鬼が破壊し、上半分がなくなった警察本部のスペースを利用して。

 

 そのまま首を絞めるように太腿で鬼の首を挟み込む。

 さらに身体をひねって鬼もろとも回転した。

 

 鬼を脳天から着地させるつもりだろう。

 

 この方法だと硬さは関係ないからね。

 よく考えたじゃない。

 

(でもさ、このままだと着地点が——)

 

「あっ!」

 

 鬼と岩ゴーレムは、私たちから見て後方へと回転している。

 ゴーレムが鬼を蹴り飛ばした距離とこのモーションから考えるに、T字路の突き当りに衝突するだろう。

 

 その突き当りには——

 

 ヤバい!

 そっちには市役所(無傷)がっ!

 

「あっ、馬鹿! ストッ——」

 

 プと言う頃には時すでに遅し。

 巨大鬼は頭から、岩ゴーレムは横からダイブする形で市役所(無傷)に突っ込んだ。

 思いっきり、突っ込んだ。

 

 もちろん二つの巨体にダイブされたら市役所もたまったものでない。

 無残にも、一瞬にしてへし折れる。

 

 再度言うが、ここは地方裁判所、県庁、市役所、警察署と言った重要機関が密集している。

 故に『内丸』と呼ばれ『行政区』となっているのだ。

 

 それなのに。

 

 県庁と市役所は全壊。

 警察署は半壊。

 無傷なのは裁判所だけ。

 

 ほとんど全ての中枢機能がパーになってしまった。

 

 ダメだこりゃ。

 笑うしかねぇ。

 

 私は苦笑いで聞く。

 

「ねえ、貧乏神。どうすんのよコレ」

 

「気持ちいいくらい、しっちゃかめっちゃかじゃのう」

 

「責任取ってあんたが直しなさいよ」

 

「えー、めんどくさーい」

 

「めんどくさいじゃないでしょう! 破壊された三つの建物のうち、二つはあなたが壊したも同然じゃない」

 

「形あるものはいつか壊れるのじゃ……」

 

「遠くを見つめてそれっぽいこと言ってもダメ! ちゃんと直しなさい」

 

「お主、若いくせにうるさいのう。誰じゃ、儂らの見た目を逆にした奴」

 

 三石サクラ——見た目は大学生。

 中身は自称ロリババア。

 赤縁あかぶちメガネに(変な)ヨレヨレのTシャツを着て、季節外れの団扇を持った変人。

 

 黒髪ロングヘアはボサボサだし、サンダル履いてるし、お腹掻いてるし……。

 

「腹くらい掻いてもよかろう!」

 

 こんな姿には絶対になりたくない。

 それに喋り方もおかしいし、ロリコンだし。

 

「随分と言ってくれるの、小娘」

 

「事実を述べたまでよ。私は神様とて忖度はしない主義なの」

 

「忖度って……」

 

「だから、私がコレを直すなんてことは絶対にしないわ」

 

「しれっと社会風刺をするなっ! 分かった、分かった。直せばいいんじゃろう」

 

 そう言い、サクラは岩ゴーレムに使っていた瓦礫と自らの神格とを使って、陥没した道路と全半壊した県庁並びに警察署を直していった。

 それはもう、大層面倒くさそうに。

 

 ゴーレムが元の大きさに戻ったのを見て、日寺が耳打ちをしてきた。

 

「なあ、桐花さんよお。この人ほんとになんなんだ? 一瞬でこの惨状を復旧させちまうって、何者だよ」

 

 あっ、しまった。

 宮守姉妹は私を含め、三石サクラも人間だと思ってるんだった。

 私の師匠と言えども、ゴーレムを使役していると言えども、やり過ぎた。

 

 壊れたものを元に戻すなんて。

 それこそ神業、神の所業よね。

 

 バケモノの私でもできるけど、どちらにしろ不可能。

 

 ネジ一本変わらず、元々あった埃も再現。

 時を逆流させたように戻すなんて。

 

 フラグのせいにはできそうにない。

 そう、フラグのせいには……。

 

 ん?

 フラグ?

 

 確か、日寺さんが『どんだけ壊しても夜明けまでには修復してくれるってさ』って言ってたような。

 国がなんとかしてくれるって言ってたような。

 

 ふっ、コレは使えるわ。

 

「実はね、師匠は『陰陽省おんようしょう』の人間なの。だから、こんなこともできるのよ」

 

「ん? 陰陽省ってなんだ?」

 

「ひょへっ!?」

 

 思ったのと違う反応。

 小首を傾げる日寺を見て、不覚にも変な声が出てしまった。

 

 日寺さんが自分で言ってたわよね!

 陰陽省について十八時間くらい前にさ!

 

「……ねえさん、真面目にやって。桐花さんが困ってる」

 

「にゃははは! すまんすまん」

 

 雫さんがフォローを入れてくれた。

 日寺は八重歯を出して笑っている。

 

「何故にボケたっ!」

 

「すげえ、アホ毛が逆立ってる!」

 

「逆立っとらんわ! てか、私にそんなものはないっ!」

 

「あきちゃんにはあんのにな。なあ、あきちゃん」

 

「!」

 

 ビクッと身体を震わせ、セーラー服の裾を引っ張るあき。 

 いきなり話題を振られ、アホ毛をビィンとアンテナのように立てて驚いていた。

 

 携帯で言ったらバリサンね。

 バリバリ電波を受信しているわ。

 

(今の時代にそれは古いだろう。今はWi-Fiの時代だぞ。せめてギガヨンと言いなよ)

 

(ギガヨン……ってダッサ! あんた、私のギャグセンスを馬鹿にする前に、自分をどうにかしなさいよね)

 

(くっ、君に言われるとは……)

 

(ま、ギガヨン(笑)でいいわよ)

 

(笑うなぁ!)

 

 私たちがセンスについて団栗どんぐりの背比べをしている間にも、巨大鬼は粒子化していっていた。

 市役所の残骸に頭をうずめ、全身から粒子を出して塵となっていく。

 

 もうこの区域に鬼はいない。

 ザコは宮守姉妹が殲滅しちゃったし、巨大鬼はサクラがやっちゃったし。

 

 これで作戦は終了かしら?

 私、あんまり鬼を倒せていないのだけれど。

 でも、疲れたな。

 今日は予定外のゴーレム戦やサクラとの喧嘩があったから。

 体力、精神、共に疲れた。

 

 しかも今日は日曜日だし。

 早く帰ってアニメが観たい。

 

「日寺さん、もしかしてこれで終わり?」

 

「そうだな、鬼もいないし……終わりだ。今日はありがとな」

 

 笑顔でそう答える日寺。

 

 よしっ。

 何もしていないけれど帰れる!

 

「しーちゃん、これから他の区域の手伝いに行くぞ」

 

「……分かった」

 

 でもな、罪悪感が残るんだよなあ。

 守護神殺しの償い分も、時雨ちゃんの昼飯分も働いていない。

 

 そんなんでいいのかしら。

 

 ……いや、良くない。

 絶対に良くない。

 

 それに、何か引っかかるのよね。

 

 こんなに呆気なく終わっていいものだろうか。

 

「それじゃ、またな」

 

「……(バイバイ)」

 

「えっ、ちょっ——」

 

 私が考えている間に、宮守姉妹は嵐の如く走り去ってしまった。

 待って、と言う隙も与えずに。

 

 日寺はネコのように建物から建物へ飛び移り、雫は電光石火の速さで駆けていく。

 すぐに二人の姿は見えなくなってしまった。

 

 ……ま、いっか。

 行っちゃったもんはしょうがない。

 

 じゃあ、早く帰りましょうかね。

 

「随分とあっさりとした別れじゃのう」

 

 私が二人が去っていった方を見ていると、巨大鬼の粒子化を見届けていたサクラが話しかけてきた。

 

「そうね」

 

 でも、これでいいの。

 寂しいけれど、二度と会えないわけじゃないから。

 

「儂も帰る。担当編集が鬼から閻魔大王になる前にな。じゃから、後はよろしく頼むぞ」

 

「あっ、なんだかんだで忘れてたわ! 分かったから、早く帰りなさい!」

 

 うむと言って、それからサクラはあきに近付いた。

 

「それではまたな、影切あきよ。死ぬでないぞ」

 

 よしよしと言いながら頭を撫で、優しく笑う。

 

 あきは頬を赤らめて斜め下を見ていた。

 恥ずかしさからなのか、下唇を噛みながら。

 

 話し終えると、サクラは自分と岩ゴーレムの足元に魔法陣を展開した。

 テレポーテーションで帰るらしい。

 

「それでは、小娘。あきを頼んだぞ」

 

 それと、羅刹の件もな——と言ってゴーレムと共に消えていった。

 

 あきはまだ俯いたままで、喋らない。

 久しぶりの沈黙が訪れる。

 

「女が三人集まるとかしましいと言うのは本当ね。すっかり静かになっちゃった」

 

 私は巨大鬼を見ながら一人呟いた。

 

 沈黙はやはり気まずい。

 早く粒子化終わってくれないかな。

 

 しかし、その大きさだけに粒子化が遅い。

 

「ところで、男が三人集まるとどうなるのかしらね。むさ苦しい、とかかしら」

 

「……」

 

「ホモホモしいとかね。男の三角関係とか腐女子が喜ぶシチュエーションよねえ」

 

「……ホモって」

 

「まあ、私はコント漫才が始まると思うのだけれど」

 

「どうして、全員がお笑い芸人なんだよっ!」

 

 あきちゃんがツッコミを入れてきた。

 やっとまともに喋ってくれたか。

 

「男が三つで『たばかる』と読むんだ。ちなみに人を騙すみたいな意味で、腐女子的意味はない!」

 

「へぇー」

 

 一つ勉強になりました。

 ボケに真面目な返答が返ってくるなんて、思ってもいなかったわ。

 

(女が横二つで『言い争う』、縦に二つで『美しい』って意味らしいぞ)

 

 と悪魔が解説を入れる。

 

(女が縦に二つで『美しい』ですって!? それって、下がいるからこそ上が引き立つってことじゃないの。なんという恐ろしい漢字なんでしょう!)

 

(確かに。恐ろしいと言えば、漢字の成り立ちって結構グロテスクだよね)

 

(それは聞いたことがあるわ)

 

 処刑後の生首が、とか。

 斬り落とされた耳が、とか。

 

 これ以上は自主規制。

 

 ——くいくいっ。

 

 私と悪魔が漢字談義をしていると、突然あきが裾を引っ張ってきた。

 

 ——ぐいぐいぐい。

 

 どんどん引っ張る力が強くなっていく。

 

「ん? どしたの、あきちゃん」

 

 私は不思議に思い、問いかけた。

 しかし、あきは何も喋らない。

 

 ただ何回も何回も裾を引っ張りながら、青い顔をして前を見ている。

 そして、私の背後に隠れてしまった。

 

「どうしたのよ、いきなり」

 

 あきはぶるぶると震え、見るからに怯えていた。

 私にしがみつくその様子は、隠れているよう。

 

 震えながらあきは前方を指さした。

 巨大鬼が倒れている方を。

 

「!」

 

 それを見て、私は言葉を失う。

 

(悪魔、あれって……)

 

(どうりで姿がなかったわけだ)

 

 粒子化している鬼から

 砂埃のように舞う粒子の中に人影が一つ。

 

 巨大鬼の腹の位置に、そいつはいた。

 

 かつての羅刹。

 いまは私の姿をした——『ブラック桐花』になって、呑気に瓦礫の上に腰かけていた。

 

 鬼の腹の中にいたのね。

 私とて、そこまでは確認できないわよ。

 

 私がアイツを見つけられなかった理由は、簡単にして明確。

 

 バケモノがバケモノの中にいたから。

 もっと言うと、巨大鬼の中にいたから。

 

 まさか、鬼の中にいるなんて。

 私としたことが、完全に油断したわ。

 

「よっこいしょっと」

 

 座っていた瓦礫から立ち上がり、う~ん、と言いながら伸びをするブラック。

 声帯まで私のをコピーしているらしく、私の声そのものだった。

 

 自分の声で他人が喋ってるのって、なんだか変な感じ。

 

「やっと私の出番ですか。随分と長かったですねぇ」

 

 馬鹿にするように、茶化すようにそう言う。

 ブラックは右手に持った神剣をぶらぶらと揺らしながら、私たちの方に向かってきた。

 

 武器までコピーか。

 

 ええと、ブラック桐花の神剣だから……。

『邪神剣』とでも名付けておきましょうかね。

 

「ふぁぁぁ……軽く寝てました。まあ、これから寝るのはですが」

 

 そう言って、一気に加速した。

 いきなりのロケットスタートに、私は不意をつかれる。

 

 速い。

 やっぱり速い。

 というか……見えない!

 

「それじゃ、おやすみなさい」

 

 気が付くと、ブラックは既に目の前にいた。

 

 私が神剣を構える前に。

 戦闘態勢に入る前に。

 

 こいつ、どんだけ速えぇんだよ。

 

 そして躊躇なく、邪神剣を突き出してきた。

 回避もできず、無抵抗のまま腹を刺される。

 

 邪神剣の切先が私をした。

 

「がはっ!」

 

 私が吐いた血を浴び、ブラック桐花の顔が真紅に染まる。

 

「これで一人、終了ですかね」

 

 刀を四分の一回転させ、それから引き抜いた。

 内臓が破壊され、傷口が広がる。

 

 とっても痛い。

 それに傷口が燃えるように熱い。

 

 けど、痛いだけ。

 内臓をやられようと、傷口を広げられようと。

 死にゃあしない。

 すぐに回復するんだから。

 

「もしかして、これがおやすみのキス? だとしたら、ムダな攻撃ね」

 

 私は精一杯かっこつけて敵を馬鹿にする。

 苦笑いになりながら、相手を挑発する。

 

 全てはあきちゃんを安心させる為に。

 悪魔が「キスってなんだよ、キスって!」と笑っているが、下唇を噛んで無視。

 

 なんせ状況が状況。

 遊んでいる暇はもうない。

 

「なにっ!? しっかり刺したはずなのに、どうして死なないんですかっ!」

 

 ブラックは混乱してから、否、混乱してから、

 

「——なんて言うとでも?」

 

 と、血みどろの笑顔で言った。

 

 は?

 どういう意味?

 

 私の裾から徐々に力が抜けていく。

 そして、身体で感じていた柔らかさと温もりが消えた。

 

 ——ドサッ。

 

 私の後ろで音がした。

 

 金属でも、瓦礫が落ちた音でもない。

 それは、弾力のある何かが倒れた音。

 

 嫌な感じがして、緊張と焦りが込み上げてきた。

 胸が苦しくなって呼吸が乱れる。

 

 振り返ると、あきが腹と口から血を流して倒れていた。

 

「あきちゃんっ!」

 

 現在、あきには回復力がない。

 転生によって、サクラによって、になってしまっているから。

 

 だから、早く止血しないと死んじゃう!

 

あなたに回復能力があるなんて、とっくに知ってますよ」

 

 あきの傷口を必死に押さえるも、出血は一向に止まらない。

 引き抜くとき、刀を回転させたのはこの為か。

 

 傷口が広すぎる。

 内臓が傷つきすぎている。

 

 そうか、最初からあきちゃんを。

 

 目的は私を殺すことじゃなかった。

 私と一緒に串刺しにすることで……あきちゃんを殺すことだったのか。

 ……だから『これから寝るのはあなたですがね』か。

 

 チッ、油断した。

 

「逃げられちゃ困りますし……この分だと、放っておいても死にますね」

 

 このままじゃ戦えない。

 戦ってる間にあきちゃんが死んじゃう。

 

 今は退くしかない。

 

「逃げるんですか。あなたらしくもない。無駄ですよ、周囲に結界を張ってありますから」

 

 とりあえず、安全な所に行かなくちゃ。

 

 私はあきちゃんを片手でお姫様抱っこし、真上に飛んだ。

 目指すはここらで一番高い、警察署の屋上。

 

「逃しませんよ!」

 

 数秒遅れてブラックも跳躍。

 私の後ろを追いかけてきた。

 

 しかし、数秒のリードは大きい。

 私は屋上にあきを置き、すぐさま屋上の端へ戻る。

 

「!?」

 

 そして、飛び上がってきたブラックを思いっきり蹴った。

 サッカーゴールにシュートするように、蹴り飛ばした。

 

 ブラックは斜め後方——県庁めがけて吹き飛んでいく。

 そのまま轟音と共に県庁にめり込んだ。

 

 これで少しだけれど時間ができた。

 あきちゃんを救う時間ができた。

 

 私は装着していた悪魔を取り外し、向かい合って言う。

 

「悪魔、契約を更新しましょう」

 

「いいのかい? これ以上、バケモノになっても」

 

「あなたと契約した時点で迷いは捨てたわ」

 

 そうかい、と言って悪魔は私の右腕に噛みついた。

 悪魔の牙が私の腕に突き刺さり、穴が開く。

 

 穴から何かが入って来る感じがして、腕に激痛が走った。

 悪魔が離れた後もなお、痛みは続く。

 

「うっ……この痛み、懐かしい……わね」

 

 開いた二つの穴から草の根のような亀裂が走り、私の腕を覆い尽くしていく。

 肩まで覆ったところで止まってくれた。

 

 硬化した皮膚がポロポロと落ち、下から暗黒色の新しい腕が覗く。

 まさに脱皮。

 爬虫類の気持ちが分かったような気がした。

 

 私は脱皮を終えた右腕をまじまじと観察する。

 所々に鱗のようなものが生え、爪は大きなかぎ爪となっていた。

 例えるなら、竜の爪。

 力強くて、硬くて、ごつい。

 

 私の右腕は、言うなれば『竜化』したのだった。

 竜化した腕で悪魔を持ち上げ、瀕死のあきちゃんに装着する。

 

「じゃあ、後はよろしくね」

 

「よろしくって……」

 

「私が悪魔あなたとあきちゃんを守る。だから……だから、あきちゃんを助けて!」

 

 契約外だってのは分かってる。

 でも、悪魔に頼るしかない。

 あきちゃんを回復させられるとしたら、悪魔しかいないんだもの。

 

「しょうがないな。今回は例外だからね」

 

 悪魔は、(悪魔の癖に)快諾してくれた。

 

 断られても無理矢理やらせたんだけど。

 穏やかに終わってよかったわ。

 

「あと、一つ言っておくけどさ。今回その力には制限時間がある。僕がついていけないからね。代わりに君の生命力を消費しているから、長時間の使用は危険だよ。もって十一分。正確には六六六秒だ」

 

 悪魔の数字的にね、と悪魔は得意顔で言った。

 

 時間制限あんのかよ!

 随分と安直な時間制限だな、全く。

 

 そう思うも、突っ込むことはせず

 

「分かったわ。ありがとう悪魔。それじゃ、またね」

 

 と、それだけ言ってブラックの元へ向かったのだった——。

 

 

 ——どうしてだろう。

 

 いつもなら寂しいはずなのに。

 一人で戦うのは、独りなのは、心細いはずなのに。

 

 全然そんなの感じない。

 

 みんながすぐ隣にいるような安心感。

 それと、ポカポカした温もりだけを感じる。

 

「もう、なんですかいきなり。痛いですね」

 

 県庁から這い出てきたブラックは、やはり無傷だった。

 

「それにどうしたのですか、その右腕。……言葉を濁してはっきり言いますけど」

 

 ……言葉が矛盾してる。

 

「正直、気持ち悪いです」

 

 言ってくれるじゃないの。

 全身真っ黒のあんたに言われると、余計に腹が立つ。

 

 私は奥歯を噛みしめ、ブラックを睨み付けた。

 私が敗北した夜もこいつを睨んだような気がする。

 

 ……どうしてあのとき、ブラックは私を殺さなかったのだろう。

 

「顔が恐いですよ……って、あれ? そういえば、あの趣味の悪い仮面はどうしたんですか?」

 

「趣味の悪さを、あんただけには言われたくないわ」

 

「まあ、あなたの死に顔が見れるのは好都合ですけどね」

 

 バーカ。

 誰があんたなんかに殺されますかってんだよ。

 

 あきちゃんも悪魔も守れずに。

 お母さんを殺した犯人も見つけられずに。

 死ねるわけがない。

 

「どうして校庭で私を殺さなかった、とどめを刺さずに消えた。あのとき、あなたは私を殺せたはずでしょう?」

 

 死にたくはなかったのだけど。

 生きててよかったんだけど。

 

 疑問だから聞いておく。

 今日がブラックの最期になるのだから。

 

 私の言葉を聞き、ブラックは高らかに笑った。

 歯を見せ、お腹を抱えて。

 

「なんです? 殺して欲しかったんですか? あははっ、マゾヒズムここに極まれりですね」

 

 そして、ニヤつきながらこう言った。

 

「理由は難解にして単純明快。……眠かったからですよ。ただそれだけです」

 

 あんなに弱いんじゃ、いつでも殺せますからね——と言う。

 こいつ、私を舐め過ぎだ。

 

「……お喋りは、もう終わりにしましょう」

 

 舐めてると痛い目見るわよ。

 いや、見させてあげるわ。

 だって、私史上最高に怒ってるんですもの。

 

 それに、いまの私には守るべき人がいる。

 守るべき人がいるだけで、こんなにも力が湧いてくるなんて知らなかった。

 

 よくもあきちゃんを。

 私の大切な人を傷つけてくれたわね。

 

「私は、絶対にあなたを許さない」

 

「そうですか。じゃあ軽く死んでください」

 

 こうして、最終決戦が幕を上げたのだった——————。

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