第55話 平和的解決と言う強さ
ソニックが、ハウニブ内でマルコ・ポーロにやられてから少し時間は遡り、役小角が、ナノマシン発生装置を発動させ、カイニスにトライデントで腹を突かれると、役小角は体から雷を放出させてカイニスを吹き飛ばした。
だが、カイニスは自分の血液で作られたローブでそれを防ぎ、トライデントをバトンの様に振り回し海から水を引き寄せた。
カイニスは、集まった水をそのままトライデントを回転させ続け、辺りに飛ばすとその水が大量の硝子の破片の様に鋭くなり、ショットガンの弾を思わせる弾痕を周りにつけて行った。
役小角は、それに対しカイニスが放った水を武装で操ろうとしたが、トライデントの方が水を操る強制力が高く不可能だった為に、自分の方に飛んでくる水を強力な冷気で自らの前方で凍らせて、水を甲板の上に落とした。
それを見たカイニスは、役小角に拍手して
「やるわね、貴方
私の攻撃をここまで防ぐなんて、今まで相当な強さの敵と戦って来た事が伺えるわ
そう言う人、嫌いじゃ無いわよ?」
カイニスが、そう言うとカイニスの目が桃色に輝き、役小角を操ろうとした。
役小角は、それに対し顔を覆って防ごうとしたが、その隙にカイニスは役小角の腹をトライデントで突いた。
「ぐあッ!」
カイニスの重たい攻撃に役小角がよろけると、カイニスは役小角の背後に海の水を引き寄せて作った水の柱を作って先端を槍の様に尖らせると、役小角の背中を突き刺した。
「うああああッ!」
水の柱は役小角の背中から腹を貫通し、飛び出すと先端が八本に別れ役小角の体に向かって伸びると、それぞれの先端が役小角の正面側に突き刺さり、返しとなって役小角を固定した。
すると、カイニスはそれを見て役小角を笑うと、得意げにこう言った。
「さあ、トドメよッ!」
カイニスは、そう言うと全力でトライデントを振り回し、役小角の体中に穴を開けそうな勢いで連続突きを繰り出した。
「うああああああああッ!」
役小角は、為す術も無くカイニスに滅多刺しにされ、漆黒の鎧を徐々に剥がされ、生身をトライデントに削られ悲鳴を挙げるとカイニスはそれを喜んだ。
「あはははは!
愉快だわ、男ですものね〜
こんなに刺されたのは初めてでしょう?
わかるわ、辛いでしょう?
でもね、まだ終わらないわ
私が受けた屈辱はこんな物じゃ無いの!」
カイニスは、そう言うと自分の背後に水の柱を十本作り出すと、それを役小角の上空に集め、一つの大きな水の塊にするとそれに渦潮を起こし
「内臓が破裂する程凄いのをぶち込んであげる!
清き体を穿ち、汚せッ!
役小角の上空で渦潮がドリルの様に飛び出し、役小角の体に徐々に近づいていった。
すると、役小角はそれに臆する事無く微笑んで
「そうだろうなー
俺にもわかるぜ、抗い様も無い程巨大な何かに蹂躙される苦しみを
だがな、人はそれを協力によって対抗出来るんだ。お前らの時代では難しかったかも知れないが、現代では最も強力な力は神ではなく、怒りに震え、立ち上がった民衆だ!
お前は、諦めただけなんだよ!
理不尽な社会に!だが、俺は諦めねえ!
仲間達と共に理想の世界を生きる!
その為に、お前はここで死んで貰うぞ!」
役小角が、そう言うとカイニスは
「そう、じゃあ見せて見なさいよ!
その理想の世界を!
諦めて何が悪いッ!屈して何が悪いッ!
定められたルールの中で最善を選ぶ事を放棄する事こそが諦めでしょう?
民衆が何?怒っていたら何を変えられるの?
強大な二つの力がぶつかったら相殺しか起きないわよ!
結局は、何も変わらない!
それがわからず、何も出来ずに大きな口だけ叩いてまるで大きな子供じゃない!
耳障りなその口が叩けぬほど徹底的に犯してやるッ!」
と憎悪に燃えた口調で言った。
すると、それを見た役小角は再び微笑み体から強力な冷気を放ち、カイニスが能力で操っている自らの周りの水を全て凍らせた。
それにカイニスは驚き、急いで新しい水の柱を生成しようとする。そのカイニスの気が役小角の能力に一点に集中仕切ったその瞬間
「
突如、聞こえた後鬼の声でカイニスの体に結界が張られ、完全に動きを封じられると、カイニスは、急に冷静になり自分の愚かさに怒り叫んだ。
「
カイニスがそう叫ぶ中、役小角は己の周りの氷を砕きながら、ゆっくりとカイニスに近づいた。役小角は、カイニスに近づくと動けぬカイニスの肩に触れ、悲しそうに
「お前の言い分は、一番平和的な物事の解決策だ。でも、それじゃあダメなんだよ。
お前みたいな奴が何人も現れ、目の前で自分に起こった悲劇と同じ事が繰り返したら耐えられるか?俺は、耐えられない。
だから、変えるんだ。あの醜い世界を!
その為に、どうか安らかに眠ってくれ……」
役小角が、そう言うとカイニスの体が一瞬にして氷つき、もはや氷像としか見えぬ姿になった。
凍りついてなお、美しいその姿を見て役小角は、カイニスの遺骸を思い切り殴り、粉々に砕いた。
「これで、誰もお前のその姿を見ないぜ」
役小角が、最後にそう言い捨てると、カイニスの破片から黄金の粒子が放出され、ヘラクレスの体に入り込んでいった。
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