第23話 万能の主、唯一神にこそ凡ての称賛あれ

【注】この話を読む前に必ずお読みください【注】

この物語は、フィクションです。実在の人物、団体とは関係ありません。実在の人物と同名の人物が作中で登場しますが、あくまで物語の登場人物で、架空の存在です。混同しないでください。また、作者は、あらゆる政治団体、宗教団体、テロ組織、暴力団、その他の犯罪組織または、カルト団体または、過激派政治団体に連なる或いは近しい物がある組織とは、一切関係ありません。






【注】本編を読む前に上記の注意書きをお読みください



元メメント・モリ構成員達の作戦会議が終わって約一時間後、スカーは一人、所定位置にて敵の監視をしていた。

スカーの武装のコートは魔法、ライズ・クラールハイトがギミックで何時でも無詠唱で発動可能になっており、スカーは、誰にも動向が探られずに行動出来る。

監視しているのは、約三千人の敵兵士の本陣らしき場所で、軍事用天幕が張られている。中には、追っていたマルコ・ポーロと、恐らくはこの集団のリーダーである男だ。

男は、白いガラベイヤムスリムの男性が着用するドレスの様に繋がっている服を着て、頭には白いタギーヤムスリムの男性が被るターバンの下に付ける帽子を被り、同じ色のクフィーヤムスリムの男性が付けるターバンを付けた服装に、長い髭を生やしていた。


「なんか、彼奴どっかで見た事あるんだよなー

何処だっけ

俺らと同じ自殺者か?

いや、それなら敵といるはず無いしな...」


スカーは、ムスリム系の服装の男の風貌に見覚えがある様な気がしてならなくなり、ふと、呟いた。


「まあ、誰でも良いか」


だが、今は作戦中の為、余計な考えを払拭した。

そして、スカーは携帯端末を取り出し仲間に連絡した。


「此方、スカー

マルコ・ポーロと敵の大将らしき人物を発見した

今の所、敵に行動の気配無し」


スカーが、そう言い終えると、通話していたマイスターが、


「そうか、御苦労

引き続き監視を頼む

此方は、攻勢の準備が整った

作戦通り、行動を開始する」


と、返すと


「了解

引き続き監視を続ける」


と、スカーが言い通信を終了した。


敵の陣営は、軍事用天幕を三角形に囲む様に千人ずつ離れた配置だったが、守る物が天幕以外に無いのでそれぞれの隊の距離は近かった。天幕の周りには、当世具足の兵士達が、四百人と、魔法使い四十人が守っているが、これはマイスターの読み通りだったので、作戦の変更は無い。


マイスターは、ハウニブ内の操縦室にて、味方に指示を出す為に内部のモニターを眺めていた。スカーに監視をさせているのは、ハウニブのモニターでは、敵を近くで見る事が出来ない為だ。スカーからの情報が入るとマイスターは、全員の位置を携帯端末で確かめた後にグロウと、クラウドに


「作戦を開始する

まずはクラウドから掛かれ

グロウは、作戦通りのタイミングで能力を発動しろ」


と、指示を出した。


「「了解」」


二人からの返事を確かめマイスターは、能力を発動する。

すると、その瞬間、常に四周と上空を警戒している敵兵士を嘲笑うかの様に、敵が陣営の周りに設置した地雷が一斉に爆発した。敵が、慌てて銃を構えると爆発したタイミングで魔法ライズ・クラールハイトで隠れていた六千人のクラウドが一斉に現れた。

クラウド達は突如、姿を表すと一斉に敵にアサルトライフルに搭載された榴弾を発射した。敵は、それに怯まず一斉にアサルトライフルをグロウ達に向け弾幕を張った。兵士達は、合計100門程のブローニングM2重機関銃を装備しており、グロウの放った榴弾を弾幕で落とそうとするが、榴弾だと、思われたそれからは煙幕が飛び出した。

それに、驚いた兵士達は急いで首にかけていた黒いスカーフで口と鼻を覆うように巻き付けた。

兵士達が、煙幕に混乱する中またもや、突如、巨大なグロウが現れ、兵士達はさらに混乱する。

兵士達の動揺は隊の各地で同時多発的に起こり、最早統制された行動は不可能に思えた。


「はははッ!

流石、私だ

いい作戦を考える!

よし、このまま奴らを皆殺しにしろ

グロウ、クラウド」


と、状況を見ていたマイスターが、グロウとクラウドに連絡すると


「「はいはい、了解」」


と、二人共、少し呆れて言いながら攻撃を開始した。

まず、クラウドがアサルトライフルを一斉掃射し、次にグロウが人数の多い所から斧で押し潰す事になっていたので、クラウドは、射撃を開始した。

慌てふためく敵兵が少しずつ倒れて行くと、兵士達は後ろを向いて逃げる者まで出てきた。

クラウド達がそれを笑いながらまるでゲームをするかの様に


「はははははッ!

そら、逃げろ!逃げろ!

さもなきゃ全員、地獄行きだァッ!」


と、叫びながら敵を撃って行った。


混乱の止まぬ兵士達、倒れゆく仲間、その惨状の中で兵士達は隣の兵を押し退けてまで逃げようとする程だった。


敵は、そんな状況でこちらの一方的な勝利が確定したと喜んでいたマイスターにスカーから連絡が入った。


「ああ、スカーか、もう良いぞ

此方の勝利だ

後は、クラウド達に任せて...」


マイスターが、そう言いかけた途端、スカーは


「そんなに楽に勝てるとは思わないぞ

敵の大将が動き出した」


と、言ってきた。

話を途中で遮られたマイスターは機嫌を損ねて


「はん、どうせ

逃走する準備だろ」


と、一方的に通話を切ってしまった。


マイスターが、スカーに苛立ちながらモニターを再び見ると


「な、なんだこれは...」


と、己の浅はかさを思い知った。


逃げる敵兵士達の幾人かが天幕へ走り、大将らしき男に見れば一目瞭然な惨状を話した。

すると、男は優しく微笑むと天幕内で腰掛けていた椅子から立ち上がり、天幕から出ていった。

兵士はキョトンとしながらそれを見ていると、男は慣れた動作で兵士達にこう叫んだ。


「同胞達よ!

怯えるな、敵は我々よりも確かに数の面では勝っている

だが、それが何だ

我々が相手した物はあんなチンケな物では無かっただろう

我々が、立ち向かったのは、世界だ!

思い出せ、あの戦場を

思い出せ、我々が一度落ちた火獄ジャハンナムの業火を

それに 、比べればあんな奴等は

虫けら同然だ!

さあ、同胞達よ

立ち上がれ!

あれが、恐いか?

ならば、私が預言者の様な奇跡を起こして見せよう

それが、私が勝ち取った力だ!」


大将の様な男は、そう言って両手を大きく広げ、兵士達を鼓舞すると、彼の後ろから突如、数人の男達が現れた。

男達が現れると、大将の様な男は、その中の一人に対し


「サイフ・アル=アデル

我が同士よ

あの、有象無象を焼き払え」


と、指示を下すと


「御意

彼等に唯一神の裁きあれ」


と、アル=アデルが応え、クラウド達を見渡すと、突如クラウド達全員の身体に爆弾が付いたベルトが身体中に巻き付けられた。


「なんだ?こりゃ?」


クラウドが、呑気にそう言った瞬間


アッラーフ・アクバル唯一神は最も偉大である!」


と、高らかに叫びながら爆弾を爆発させた。

突如、爆弾した敵に兵士達は、歓喜し同時にグロウも魔法使いの魔法で倒れた。

兵士達の指揮が最高潮に達すると、大将の様な男が再び兵達に叫んだ。


「さあ、敵の尖兵はこの私、

オサマ・ビン・ラディンが討ち滅ぼした!

同胞達よ

今こそ、正義の為の奮闘努力ジハードを実行せよ!」


ビン・ラディンがそう言うと、兵士達は、揃って


「「「「「アッラーフ・アクバル!」」」」」


と、言い敵の第二陣に備えた。


それを見ていたマイスターは、モニターの前で


「ふざけるなッ!

誰が想定するんだ!

あんな敵!」


と、言いながら立ち上がって地団駄を踏んだ。



【注】上記の注意書きを読み飛ばした方は、一度ページ上部へ戻り必ずお読みください。

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